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2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (16-5)

§16の5 パーティー

 

奥さんは

 

   「お久し振りね・・・」

 

と言うと、自分にビールの酌をしながら

忘年会のあと、電話番号を渡したのに

連絡が来なかったわね、みたいなことを

いろいろと聞いて来た。

 

自分は、「すみません」 と謝り

あのあと、大学の後期試験などもあって

お店にも行けなかったことを話した。

 

奥さんと、四方山話をしていると

他の人達も、お互いにお酌をし合ったりして

場所も、だんだん入り乱れてきている。

 

自分が、まだ、

どのように振舞ったら良いのか

良く分かっていなかったので、

 

奥さんに

今日来られなかった人は

どのように、していたんですか?

と聞いてみると、

 

その人は、縄が趣味の人で

この会には、初回から

ずっと参加していて

ここで希望者を

縛っていたのだと言う。

 

最初は皆、興味本位だったけれど

だんだん味を占めてきて、何人かは

それが目当てで、この会に

参加し続けているそうだ。

 

いつも縛られているのは、上久保ちゃん。

そして、最後に自分の車で来た

三名さんの奥さんと、その妹さん。

そして、わたしだと言う。

 

上久保ちゃんは、何も説明してないの?

と聞かれても、それまで

何も詳しい話を聞いていなかったので

「はい」 としか、答えられない。

 

この集まりは、もともと

「スウィンガー」 という雑誌で

知り合った人達同士が

集まるようになったのが

始まりだと言う。

 

自分は、ホームパーティーだとばかり

思っていたが、

今日の集まりも、そのスワッピングの

パーティーだと言う。

 

自分も驚いてしまったが

さすがに、その奥さんも、全く理解していない人を

参加させるのは、問題だと思ったに違いない。

 

奥さんが席を立ち

上久保ちゃんのガールフレンドに

何か耳打ちをすると

 

ガールフレンドさんは、顔色を変えて

上久保ちゃんのところに行き

 

いきなり、上久保ちゃんの頬っぺたを

 

   <パシーーーーーン!>

 

とビンタした。

 

吹っ飛ぶ上久保ちゃんに、

皆、何事かと、緊張感が走る。

 

どうも、自分が問題視されているようだった。

 

彼女曰く、

パーティーの趣旨もきちんと説明しないで、

こんなイタイケのない子を連れて来るなんて、

何を考えているの? と、言うことだった。

 

   「ありゃりゃ・・・」

 

と、叩かれた頬っぺたを押さえて、

目を泳がせている上久保ちゃん。

 

   「説明してなかったっけ?

    こりゃ、あかん!」

 

と言うと、おでこをペシンと叩(はた)いて

大笑いする上久保ちゃんに怒り心頭で

また襲いかかろうとする、ガールフレンドさん。

 

   「大丈夫です!大丈夫です!」

 

と、自分も慌てて、押さえに掛かる。

 

自分がイタイケがないかどうかは、別として

 

ママも、上久保ちゃんの相談に乗って

ママも、自分で大丈夫って言ってくれたのだから

きちんと仕事はするし、秘密はきちんと守ります

と言うと、

 

ガールフレンドさんは、

 

   「そういうことじゃない!」

 

と言いつつも、

何とかその場は引いてくれた。

 

―――――――――――――――――

 

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2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (16-4)

§16の4 親睦会


ソファーの前のテーブルには
どんどんお皿に移された
ご馳走が並べられてくる。

上久保ちゃんを含めた
男性陣の何人かは
もう既に、ビールを飲み始めていた。

上久保ちゃんのガールフレンドが
こちらに歩いて来ると

   「作業は後にして、こっちで
    みんなと一緒に飲みましょう」

と誘ってくれた。
一応、アルバイトで来ているので、と
お断りするものの、
気にしなくていいと言う。

女性も揃うと、全員で乾杯をした。
皆、知り合い同士のようだったが
しょっちゅう顔を合わせる間柄でも
なさそうで、いろいろと近況を
確認しているようだった。

上久保ちゃんが、ふと
気がついたように

 

今日、仕事で来れなかった
○○ちゃんの代理として

声を掛けた、緒尾くんです

といきなり紹介されると

皆がパチパチと、手を叩き出した。

   <い・・・いきなり・・・>

 

頭に血が上って、何を話したら良いのかも

分からなくなる。

 

とりあえず、その場で起立して

 

   「ママのお店で、上久保ちゃんに

    8千円で雇われた緒尾です。学生です。」

 

と、簡単に自己紹介すると、

 

女性陣が、「わたしなら幾ら出すわ・・・」 とか

「もっと貰いなさいよ・・・」 とか

「さっきのオンボロ車あげるわ・・・」 とか

女性陣が突っ込むので、

   「いえいえ、実は最初は、6千円で

    ママが助けに入ってくれて

    8千円になったんです」

 

と補足すると、皆、大爆笑し、上久保ちゃんは

 

   「いやぁ、こりゃ、まいった!」

 

と言って、思いっきりおでこを叩くと

大笑いした。

 

それからは

立ったままの状態で

質問責めである。

 

何かを聞かれて、答えると

それを受けて、誰かが話をし

別の人が、ツッコミを入れては

ドッ とウケての繰り返し。

 

最後に上久保ちゃんが、一通り

他の人達を紹介してくれた。

 

まずは、この別荘のオーナーである

車屋さん御夫婦。

以前、ママの店の忘年会で

お話したことのある、御夫婦だ。

 

電車で来た御夫婦は

揃って、お二人とも真面目で

口数の少ない、物静かな人達。

 

実は、この御夫婦も

ママの店での忘年会には

参加していたようだが

全く記憶に残っていなかった。

 

もう一組は

三人で参加されている

車で来た御夫婦と、妹さん。

ご主人は、保険の代理店を

されているらしい。

こちらの御夫婦は

一緒にテニスやゴルフを

されているそうだ。

 

妹さんは、雰囲気は違うけど

 

お姉さんとは、目がそっくりだった。

 

そして最後に

上久保ちゃんの、ガールフレンドさん。

 

こちらの女性は

ちょうど上久保ちゃんとは正反対。

痩せている上久保ちゃんに対し

大柄で肉づきも良く

ハキハキとしていて

まさしく 「濃い目」 という

表現がピッタリの、女性だった。

 

一通り、紹介も終わって

汗を拭き拭き、席に座ると

以前、忘年会でお会いした奥さんが

ビールを持ってこちらの席に

やってきた。

 

―――――――――――――――――

 

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2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (16-3)

§16の3 寄り合い

 

当日の朝、待ち合わせをした駅に

向かうと、既に、上久保ちゃんと

一組のカップルは先に到着していて

立ち話をしていた。

 

   「おはようございます・・・」

 

とあいさつすると

そのカップルは、昨年の忘年会でお会いして

電話番号を戴いた、ご夫婦だった。

 

これから、そのご夫婦が所有している別荘に

行くのだと言う。

皆、飲み物をクーラーボックスに詰め込み

重箱に詰めた料理などで、ピクニック気分である。

 

そこに電車で来た夫婦が合流する。

荷物が増える度に、車の後に廻って

荷物を詰め直していく。

 

上久保ちゃんのガールフレンド?も到着し

もう1台、車で来た人達も到着したので

車二台に分乗して、出発した。

 

車は、もう最近はほとんど

街中でもなかなか見掛けない

ワーゲンバスと呼ばれる

フォルクスワーゲンの

ワゴン車だった。

 

どうやら、ご夫婦は

外車を販売しているらしく

 

古いタイプの車は

定期的に動かさないと

ガタが来やすいので

慣らしも兼ねているのだと言う。

 

奥さんは、もっと乗り心地が良くて

静かな車が良いのにと、ぶつぶつ

文句を言っている。

 

 

中央高速に乗り、相模湖か大月辺りで降りて

しばらくすると、別荘に着いた。

 

別荘は、車の保管用に使っているらしく

別荘の隣りには、大きな車庫があり

それ以外にも、敷地には

たくさんの車が置いてあった。

部品取り用の車なども、ここに置いていると言う。

 

別荘に到着し、皆で荷物を運び込むと

男性陣は、居間に行き

女性陣は、食事の準備を始めた。

 

居間に行ってみると、古い日本家屋の

梁ではないが、かなり高い位置に

頑丈な柱が井桁状に入っている。


いつも、吊りに使用している場所を
聞くと、脚立を借りて、とりあえず
吊り床を作り始めることにした。

 

一応、お金を戴いてのお仕事である。


こんなに高い吊り床は
初めてだったので
柱に縄を巻きつけると
そこから下に、縄を垂らし
何度も、自分の背丈に合うように
調整すると、

その下にカラビナを取り付けた。

どういうリクエストが出るのか
分からないので
吊り床を、2~3箇所用意する。

他の男性陣の人達が、
その作業を見ている。

 

   「最近は、カラビナなんて使うの?」


緒先輩を前に、流儀どころか
そういった事情にすら、
全く疎かった自分は、ただ

「はい・・・」

とだけ答えると

ただ黙々と
鞄から縄を取り出して
カラビナに全体重を掛け
問題がないことを確認した。

 

―――――――――――――――――

 

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2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (16-2)

§16の2 アルバイト再び

 

しばらく四方山話をしていると、ママが

最近も、縄の練習しているの?と聞いてきた。


今年に入ってから

忙しかったこともあって

実は、お姉さんとも

去年のクリスマス以降

全く会えていない状態だった。

 

若手とも、ずっと

連絡が途絶えたままに

なっていたが、

 

しかし、説明するのも面倒だったので

 

   「ぼちぼち・・・」

 

と答えると、上久保ちゃんが

 

   「吊れるようになった?」

 

と尋ねてきた。

 

実際、お姉さんと、二人だけで

会えるようになって

吊れる機会も、格段に増えたためか

自分でも、以前と比べると

縄捌きがこなれて来た感触は、あったので

 

   「まあ、基本的なところは・・・」

 

と返すと、上久保ちゃんは、真顔で

 

   「じゃあ、アルバイトお願いしようかな?」

 

と言った。

 

「アルバイト」 という言葉を受けて

思わず、以前

ママに、「中野クィーン」 で

からかわれたことを思い出して

油汗を垂らしていると

 

今度、忘年会に参加した人などにも声を掛けて

パーティーを予定しているので、そのときに

縛れる人を、探しているのだと言う。

 

   「上久保さんは、縛れないんですか?」

 

と聞くと

 

   「まいった!」

 

と言って、おでこを叩き、大笑いする。

 

上久保ちゃんは、縄は見てるか

縛られる方が好きなので

自身では、縛れないのだそうだ。

 

 

他にも、料亭の人もいるのに

何で自分なのかと聞くと、どうやら

当日は土曜日なので

料亭は、書き入れ時なのだと言う。

 

若手に限っては

一年に何回か

現場がお店に近いときに

たまに寄る程度なので

連絡の付けようがないし、


そのパーティには、いつも

縄を出来る人が参加していたのだが

今回は、仕事の都合で

参加出来なくなってしまい、

 

ちょうどママに

誰か良い人はいないかと

相談していたところだったそうだ。

 

きちんと、アルバイト料も

払ってくれると言う。

 

ママは、口頭で、自分に

幾つかのポイントについて質問すると

基礎は出来ているし

平吊り、背面吊り、横吊りが

スムーズに出来るなら

問題ないと、上久保ちゃんに言った。

 

自分は、その日は

特に用事もないことを

上久保ちゃんに伝えると、

 

上久保ちゃんは、だいたい6時間くらいだから
アルバイト料として、6千円を払うと言ったが
ママが一言、「安い!」 と言うと、8千円になった。

ママは、本当か嘘か

   「じゃあ、お店の紹介料は、
    2千円でいいわ」

と言うと、上久保ちゃんは何も言えず

 

上久保ちゃんが払うお金は

締めて、1万円になった。

上久保ちゃんは、

   「ママには、適わんな」

と言って、おでこをぴしゃっと叩くと

大笑いしていた。

 

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2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (16-1)

§16の1 再訪

 

ようやく、一息入れることが出来たのは

就職先の内定が出た

翌年の、夏の始め頃だった。

 

ママのお店も

去年の暮れに

お店の忘年会に出席して以来

足が遠のいていた。

 

ママの店の忘年会には

 

お姉さんは

職場の仕事納めや

その後の忘年会などが

重なってしまって

出られず、

 

若手は若手で

年末まで

仕事のスケジュールがいっぱいで

身動き出来ない状態だった。

 

自分ひとり、参加したものの

 

面識のある人は、上久保ちゃんぐらい。

 

親方も、年配の人も

料亭の方が
御節の仕込みやら

宴会の方も、ピークを迎えていて

それどころではなかったらしい。

上久保ちゃんの知り合いは
多かったので、ママの計らいもあり
いろいろな人に紹介は、されるものの、

男性客が同伴する女性客からの
質問責めや、乾杯責めばかりで
個人的に、電話番号を教えてくれる
お客さんも居たりしたが、

そもそも、人の名前を覚えるのが
苦手なタイプだったし、

クリスマスや、ホームパーティーなどの
お誘いも、社交辞令的なものだと思っていたので
誘われても、行くことはなかった。


ママの店にも、顔を出さなくなって
もう、6ヶ月が経とうとしていた。

***

 

アルバイトが終わって
久し振りに、ママの店に、顔を出してみると
普段よりは、幾分時間が遅かったためか

上久保ちゃんと、もう一人くらい

会ったことのないお客さんが

先に飲んでいた。

 

お店に入ると、早速

上久保ちゃんが、突っ込み半分で

 

   「ありゃ、こりゃまた

    珍しいお客さんの、お目見えだ・・・」

 

と声を掛けてくる。

 

   「どうも、ご無沙汰しています。」

 

学校が忙しくて、しばらく来れなかったことを

伝えると、ママは、それが学生の本分なんだから

それでいいの、と言った。

 

席に着いて、ビールを貰うと

ママも自分のビール?を開けて

みんなで乾杯をした。

 

―――――――――――――――――

 

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2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (15-5)

§15の5 聖夜

 

部屋に入ると

自分の勝手知ったる場所だからか

彼女は、だんだんと

デレデレモードに変わってきた。

 

足で、イタズラを始めるのである。
最初の頃は、困惑したが

本人は

手持ち無沙汰になると

どうも無意識に

しているようなのだ。

 

コンビニで買ってきた

レーズンバターを

口に含み

彼女にキッスをして

口の中に、入れてあげる。

 

レーズンバターの

甘くて濃厚な味と粘りが

絡み合う、二人の舌に

纏わり付く。

ちょっと不思議な感覚だ。

 

ケーキはなく

あとは、グリコのポッキーに

ピンクのアポロチョコだけだったが

久し振りの逢瀬に

お互いの口をむさぼった。

 

彼女は

面白いものを見せてあげる・・・

と言って

シャンパンの中に

アポロチョコレートを

何粒か入れると、

 

 

チョコに気泡が付いて

上に上がったり、下がったり

宇宙遊泳を始めた。

 

シャンパンと一緒に

アポロを口の中に含んでは

お互いの口の中に

押し込んだりして

戯れ合っているうちに

 

だんだんと興奮してきて

 

気が付いたら、アポロではなくて

お姉さんの乳☆首を、口に含んでいた。

 

   「はぁ・・・んっんっ・・・、はぅ・・・」

 

我慢できなくなったのか

二人は、どちらからともなく

服を脱ぎ捨てると

 

部屋の電気を消して

 

半月の月明かりに

照らされる中

お互いの身体をむさぼりあった。

 

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2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (15-4)

§15の4 隠れ家

 

言われた通り、街道に出てからは

   「次の交差点を右に入って・・・」

   「二つ目の信号を左・・・」

 

彼女に言われた通りに、運転する。

とても楽だ。

 

彼女の指示には

 

一切の迷いがなかったので

もう家に帰るのかと思っていた。

 

あるマンションの入り口で止まると

車の中で、待っているように言われた。

しばらくして、彼女が戻って来ると

その先にある、駐車場に車を駐めて、と言う。

 

車を駐めると、二人でコンビニまで

買い物に行った。

訳が分からずに居ると

今日は、アソコに泊まるのだと言う。

 

部屋は、お父さんがたまに

仕事で篭るときに使う程度で

借り手もいないので、普段は

物置代わりに、使っているのだそうだ。

 

さきほど電話したのは

一応、人がいないことを、確認するために

電話をしてみたのだと言う。

 

飲み物やお摘み

お菓子などを買い込み

マンションに戻ると、彼女の後に付いて

入っていく。


彼女は、ハンドバックから、じゃらじゃらと、鍵の束を取り出すと
鍵を鍵穴に差し込んで、カチャンと廻す。

   「どうぞ入って」
   「お邪魔します・・・」

 

彼女が部屋に入り、玄関の電気を点けると

 

手前の一つの部屋が、納戸として使用されており

もう一つの部屋は、仕事部屋。

居間の部分は、ちょっとした応接と

疲れたときに、休めるように

ソファーベッドが置かれている。


彼女は、ソファーに、カバンを放り投げ

暖房のスイッチを入れて、強にすると


   「久し振りね・・・」

と言って、首に抱き付き
ぶちゅっと、唇を重ねて来た。

 

二人で、キッスの余韻を楽しむ。

 

しばらくして、部屋が暖まると

お姉さんは

ジャケットを脱いで

それをソファーに放り投げると

台所に行って、グラスを用意し

クローゼットから、シャンパンを取り出した。

 

お父さんのだが

お客様用なので

勝手に飲んでも、平気なのだと言う。

 

お姉さんは、慣れた手つきで

ポンッ!

と、コルクの栓を抜くと

グラスに注いで

二人で、クリスマスの乾杯をした。

 

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2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (15-3)

§15の3 八方塞がり

 

首都高に乗ると、車が渋滞していて

車が流れない。

仕方なく、次の出口で降り

渋谷辺りを通って

用賀に出て

第三京浜に向かおうとするものの、

 

道は結構、混んでいるし

街は、人で何処もいっぱいだ。

 

彼女は、自分が聞いていたカセットを

取り出すと、彼女が聞いている

山下達郎のカセットに交換する。

 

「高気圧ガール」 は、CMに流れていたし

この曲は、今あちこちの、街角で

ガンガン掛かっているやつだった。

 

 

しかし、しばらくして

一向に車が進まないのに

業を煮やした彼女は

何処かで休みたいから

今来た道を引き返して、と言う。

 

仕方なく引き返して

言われた通りに

ホテルやラブホを探して見るが

何処も満室ばかり。

八方塞がりだ。

 

もう、何処にも、行く宛がないようなので

車を、路肩に停め

 

   「家まで送るから、帰ろう・・・」

 

と言うと

 

彼女は、しばらく考え込んで

公衆電話を見つけると

もう、真夜中なのに

何処かに電話する。

 

しばらくして、公衆電話から戻ると

 

   「大丈夫そう・・・」

 

と言うので、彼女の指示に従って

幾分空いてきた夜の道に

車を発進させた。

 

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2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (15-2)

§15の2 呼び出し

 

その年のクリスマスイブは、週末で

特に何の約束も、用事もなかった自分は

 

ユーミンの 「恋人がサンタクロース」 や

山下達郎の 「クリスマス・イブ」 などの曲で

 

 

クリスマス一色に、染まった街に

溶け込める筈もなく


土曜日ということもあり
何処にも出掛けることなく
家でゴロゴロしていると

 

夜に、お姉さんから

電話が掛かってきた。

 

少し酔っているらしい。

 

二人っきりになったときに

電話番号を交換したが

実際に掛かって来たのは

それが初めてだった。

 

   「今から、迎えに来て!」

 

周りからは、ガヤガヤとした

喧騒とした街の音が聞こえる。

今、居る場所を聞くと

かなり遠いので

時間が掛かると言ったが

 

彼女は、待ってると言う。

 

仕方なく、親の車を運転して

六本木まで向かうものの

道は車とタクシーで溢れている。

 

麻布方面から、246に出て

首都高の下を走っていると

ようやく、右手に 「アマンド」 が見える。

 

そこを右折して

スクエアビルの方に入ると

もう人が多過ぎて

車では、入れそうにない。

 

仕方なく、

瀬里奈がある方の

通り沿いに車を停めて

徒歩で、其の場所を探す。

 

 

ようやくお店を見つけると

外には、店に入れず

たむろしている客で

溢れていた。

 

店の中を覗いてみても

全然分からない。

 

外でたむろしている人達を

見回していると、道の反対側に

お姉さんと、何人かの男性が

一緒に居るのを見つけた。

 

小走りで駆け寄ると

それを見つけた、お姉さんが

人前であるにもかかわらず

ぎゅっと自分に抱きついて来る。

 

隣りに居た、ちょっと小太りな男性が

 

   「あっ、弟さんでありますかっ」

 

と、自分にお辞儀をすると

お姉さんは、

 

   「違うの。わたしのダーリンなの・・・」

 

と言って、ブチュッと口づけをしてくる。

 

結構、酔っ払っていたようなので

他の人達とは別れて

なんとか車に乗せる。

 

会社の忘年会で、もう何件か

梯子をしているのだと言う。

どうやら、二軒目の店に入ったときに

電話をして

今、待っていた店は

三軒目か四軒目の店だったようだ。

 

一緒に居たのは、会社の同僚で

皆、お姉さんのことを狙っている

「どうしようもない人達」 だ、

と言っていた。

 

とにかく、彼女の家方面に

車を走らせていると

彼女は、突然、

海が見たいと言い出した。

 

   「う・・・うみ? ((((;゚Д゚))))))) 」

 

特に、次の日の予定もないし

お姉さんは、一度言ったら

人の話を聞かないので

仕方なく、首都高に乗った。

 

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2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (15-1)

§15の1 置いてけぼり

 

ファンのモーターが回る、

大きな音で、目を覚ますと、

自分は、ベッドの上で寝ていた。

 

見回しても、お姉さんの姿はなく、

音のする、洗面台の方に行ってみると、

彼女はタオルを身体に巻き、

ドライヤーを掛けている最中だった。

 

お姉さんは鏡越しに、自分を見付けると、

即座に振り向いて、

 

   「昨日、精液を髪の毛に付けたでしょ?

    洗うの大変なんだからね!」

 

と怒っている。

 

どうやら、背中に出したときに、

勢い余って、髪の毛まで飛んでしまったようだ。

 

   「すみません・・・」

 

と謝るものの、彼女の機嫌は、一向に戻らない。

 

結局、

 

4時も廻り、慌ただしく

チェックアウトの準備をすると、

彼女は一言も口を利かず、

先に歩いて行ってしまい、

 

仕方なく、また一人で、

まだ夜の明けていない

暗い新宿の街を、

駅の方まで歩いて行った。

 

***

 

それからも、飲み会とかが、特に入らない限り、

火曜日か水曜日のいずれかに、

お姉さんは、練習会に参加してくれて、

 

自分との逢瀬は、

生理があって、ずれる場合もあったが、

だいたい、最初の頃は、

一週間から二週間に1回。

週末の金曜日に会っていた。

 

吊りの練習の方は、

普通に、平吊りが出来るようになり、

背面吊り、横吊りと、覚えて行ったが、

 

年末年始が近付いて来ると、

若手も仕事が立て込むようになり、

お姉さんも、忘年会などの職場の行事や、

仕事以外にも、お店のお手伝いが忙しくなり、

練習会も、デートのどちらも、

次第に回数が減っていった。

 

自分は、と言えば、1月の下旬辺りから、

後期試験があり、まだ、四年に進級出来るか

どうかは分からなかったが、

研究室選びや、進路の話なんかもあり、

忙しくなってきて、

 

次第と、若手やお姉さんとは、なかなか

会えない日が、続くようになった。

 

―――――――――――――――――

 

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