【緊縛小説】 縄絡み (16-5)
§16の5 パーティー
奥さんは
「お久し振りね・・・」
と言うと、自分にビールの酌をしながら
忘年会のあと、電話番号を渡したのに
連絡が来なかったわね、みたいなことを
いろいろと聞いて来た。
自分は、「すみません」 と謝り
あのあと、大学の後期試験などもあって
お店にも行けなかったことを話した。
奥さんと、四方山話をしていると
他の人達も、お互いにお酌をし合ったりして
場所も、だんだん入り乱れてきている。
自分が、まだ、
どのように振舞ったら良いのか
良く分かっていなかったので、
奥さんに
今日来られなかった人は
どのように、していたんですか?
と聞いてみると、
その人は、縄が趣味の人で
この会には、初回から
ずっと参加していて
ここで希望者を
縛っていたのだと言う。
最初は皆、興味本位だったけれど
だんだん味を占めてきて、何人かは
それが目当てで、この会に
参加し続けているそうだ。
いつも縛られているのは、上久保ちゃん。
そして、最後に自分の車で来た
三名さんの奥さんと、その妹さん。
そして、わたしだと言う。
上久保ちゃんは、何も説明してないの?
と聞かれても、それまで
何も詳しい話を聞いていなかったので
「はい」 としか、答えられない。
この集まりは、もともと
「スウィンガー」 という雑誌で
知り合った人達同士が
集まるようになったのが
始まりだと言う。
自分は、ホームパーティーだとばかり
思っていたが、
今日の集まりも、そのスワッピングの
パーティーだと言う。
自分も驚いてしまったが
さすがに、その奥さんも、全く理解していない人を
参加させるのは、問題だと思ったに違いない。
奥さんが席を立ち
上久保ちゃんのガールフレンドに
何か耳打ちをすると
ガールフレンドさんは、顔色を変えて
上久保ちゃんのところに行き
いきなり、上久保ちゃんの頬っぺたを
<パシーーーーーン!>
とビンタした。
吹っ飛ぶ上久保ちゃんに、
皆、何事かと、緊張感が走る。
どうも、自分が問題視されているようだった。
彼女曰く、
パーティーの趣旨もきちんと説明しないで、
こんなイタイケのない子を連れて来るなんて、
何を考えているの? と、言うことだった。
「ありゃりゃ・・・」
と、叩かれた頬っぺたを押さえて、
目を泳がせている上久保ちゃん。
「説明してなかったっけ?
こりゃ、あかん!」
と言うと、おでこをペシンと叩(はた)いて
大笑いする上久保ちゃんに怒り心頭で
また襲いかかろうとする、ガールフレンドさん。
「大丈夫です!大丈夫です!」
と、自分も慌てて、押さえに掛かる。
自分がイタイケがないかどうかは、別として
ママも、上久保ちゃんの相談に乗って
ママも、自分で大丈夫って言ってくれたのだから
きちんと仕事はするし、秘密はきちんと守ります
と言うと、
ガールフレンドさんは、
「そういうことじゃない!」
と言いつつも、
何とかその場は引いてくれた。
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