【緊縛小説】 縄絡み (6-1)
§6の1 二人飲み会
その後、何回か、
若手は、女の子に気遣い、
様子を見に行くが、
女の子は、恥ずかしくて、
居た堪れないのか、
機嫌を直してくれず、
毛布に包まったまま、
一向に、出て来る気配がない。
仕方なく、女の子は、放っておいて、
二人だけの、宴会になった。
若手は、お店では、「酎ハイ」 を飲んでいるが、
実は 「ビール党」 なのだと言う。
お店で、ビールを飲むと、
かなりの金額になるほど、
飲んでしまうからだそうだ。
既に、その時点で、
2L缶だったか、3L缶がひとつ、
もう、空になっていた。
若手は、気分を良くしたのか、
以前勤めていた料亭のことや、女の子のことを
いろいろ話してくれた。
実は、若手は左利きで、
包丁から何から、
料理道具は全て、
左利き用を、用意したのだが、
普段は問題なくても、
現場が、忙しくなってくると、
料理人は皆、気が立ってくるので、
そういうときに、
常に、罵声を浴びせられたそうだ。
親方は、若手のことを、
とても、可愛がってくれたようだが、
やはり、古い仕来たりが残る、
割烹や懐石料理の世界では、
左利きは、居づらかったらしい。
そんな話をしていると、もぞもぞと、女の子が
起き出して来て、若手の隣に座ると、
目をウルウルとさせ、
そして、恥ずかしそうに、膨れっ面をした。
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コメント
No title
羨ましく思います。
2018-04-28 23:58 URL 編集