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2016/02/25

【縄05】 逆海老縛り

両腕を縛り、これを脚を縛ったものと、身体の背中側でまとめた縛り方全般を、海老とは逆の方向に反っているように見えることから、「逆海老縛り」 と言います。

後ろ手縛りの胸縄に、足首を縛った縄を接続するのが一般的ですが、腕を後ろ手の直伸縛り(後ろ手一本)にしたり、前手に縛った手を頭の上から背中方向に落すような感じで 「諸手(もろて)上げ」 にして足縄に繋げたり、脚も直伸(脚一本)に縛ったり、胡坐(あぐら)に縛ったり、いろんなバリエーションのある縛り方です。

一説によると、アメリカのホッグタイ(Hogtie)と呼ばれる縛り方の影響を受けているという説もあります。
ホッグタイは、四本足の動物を捕獲したときに、手と足をそれぞれ結び、それを前方で、手と足をくくりつけることを言います。ホッグ(Hog)とは英語で 「丸々太った食べ頃の豚」 のこと。
日本語に直訳すると 「豚縛り」 みたいな感じになります。(笑)
豚や四足動物の場合は前で縛られるのに対して、人間の場合は、背面で縛られます。
ホッグタイの場合は、腕は後ろ手一本に縛られて、足首に縛り付けられるのが一般的です。
背面で肘(ひじ)が伸びきった状態で縛られ、この腕(うで)が、膝(ひざ)を折り曲げた形で、足と一緒に縛りあげられるので、確かになかなか、縄をゆるめづらい縛り方と言えます。

この縛り方は、逆海老状態になり、股間が全面に押し出される形になることから、女性は、股間に力を入れることが出来ず無防備になります。
SM における逆海老の効果は、その辺にあると思っています。

上級者が手際よく、M 女を逆海老の状態で吊(つ)ったりするのは、見ていても圧巻です。
無作為にやっているように見えますが、必ず支点を作っては、体重を移動させるような感じで吊っていきます。しかし、縄にはかなりの重量が掛かりますので、勢いをつけるところは勢いをつけて、思いっきりやらないと、持ち上がるものも持ち上がりません。

吊りは、縄が切れたり、落下したりみたいな危険もありますが、バランスを崩したり、縄が滑(すべ)って、すっぽ抜けたりして、身体を捻(ねじ)っただけでも、脱臼や筋を違えたりする危険があります。
ですので、知識や経験もなく、面白半分で、ふざけては決してやらないこと。
自分ももうかなり忘れています。今となっては、吊りが出来る場所や機会が少ないこともありますが、そもそも、そこまで高度な吊りに熟練しているわけではありません。
今は、吊りを教えてくれるスタジオや講習なんかも、いろいろとあるようなので、興味のある方は、そういったサービスを利用するのも、ひとつの手だと思っています。


ちなみに、以下の写真は、這い這いのカタチをしたミニキューピを、逆海老に縛ったもの。
手も脚も可動しないタイプなので、けっこうガッツリ後ろ手に縛りあげてあります。
「縄」 ならぬ 「紐」 は、麻紐です。(笑)


 



 



 

2016/01/29

【縄04】 亀甲縛り(菱縄縛り)


 

SM に明るくない方でも、何故か知っているのが、この 「亀甲縛り(きっこうしばり)」。

亀甲縛りの菱縄縛りも、身体を編むように縛っていきますが、腕や足を拘束しません。
「菱縄縛り(ひしなわしばり)」 も感じが似てるためか 「亀甲縛り」 と混同されやすいのですが、
菱縄縛りは、縄目が菱形になるように縛るのに対して、亀甲縛りは、縄目が亀の甲羅(こうら)の紋様のように六角形になるように縛るので、厳密には区別します。
但し、実際には、受け手の体系がきれいに見えるように、菱形と亀甲を織り交ぜたりしますので、分類が微妙な場合も少なくありません(笑)

もともとは、江戸時代の捕縄術(とりなわじゅつ)で、縄抜けされないよう、腹部などに大きな亀甲紋様が描かれるように縛り、麻縄が伸縮することで弛(ゆる)みが生じないようにしていた結び方を取り入れた縛り方です。

股縄の通し方や、背中側からの縄の通し方には、いろいろとバリエーションがありますが、自分で自分を縛る自縛(じばく)にも適しています。

女性は下着に対して特殊な思い入れがあったりしますが、亀甲縛りの良さは、受け手の女性が縄で縛られてる自分を見て、美しいと感じるところ。
全体に伸縮が利くようになりますので、縛りは一見緩やかですが、一方を引っ張ると全体的に絞まりますので、もしかしたら、そういった感じも、縄に抱かれているような感覚があって、良いのかも知れません。

一本の縄を編みこむようにして縛りあげるので、柔軟性のある縛り方ではありますが、但し、肩に当たる部分と股の部分の縄には、かなりの、力が掛かります。
また、身体の正面真ん中を通る正中線上には、たくさんの経絡(つぼ)がありますが、亀甲縛りは、その正中線上に縄の結び目がきますので、強く圧迫しすぎると、痛みが残る場合があるので、無理な扱いは禁物です。

股縄は、結び目を作り、結び目が丁度陰核にあたるように、股間前方から後方に通す縄を言います。身体を動かすと、当然、この股縄も擦れ合いますので、陰核を刺激することになります。
また、この股縄に、ローターや電マをはさんで固定しやすいという特徴もありますが、この場合の欠点は、股を通した縄が邪魔になるので、合体して挿入するのには適していないということ。
その場合には、同じ股縄であっても、結び目を作らず、横縄を編みこむ際に、股縄に横縄を通して、足の付け根の鼠径部(そけいぶ)の方に股縄を通すようにします。


個人的に思う、この縛りが利点。それは、やはり受け手である女性のウケがいいことと、その伸縮性にあります。
高手小手が、受け手を観念させる 「従属の縛り」 であるとしたら、亀甲は、女性を縄で抱きしめる 「愛の縛り」 と言えます。

自分の場合、個人的に拘(こだわ)っているのは、ここに開脚状態で縛った脚縄を繋ぎ込んで、股を閉じようとすると、亀甲が締まるような縛りです。(笑)

亀甲に胸縄を巻いて後ろ手で縛る人も居ますが、折角の伸縮が台無しだし、美しくありません。捕り縄的にも、高手を固定するなら、うまく亀甲に絡めて貰いたいところ。
普段は、後ろ手が多くなりがちなこともあり、亀甲の場合は敢えて、前手で小手を縛って、諸手をあげさせたりしています。(笑)

2016/01/19

【縄03】 後手縛り(高手小手縛り)


 

個人の好みと偏見ではありますが、緊縛で一番オーソドックスであり、ポピュラーなのが、この 「後手縛り(ごてしばり)」 です。「後ろ手縛り(うしろでしばり)」 もしくは 「高手小手(たかてこて)縛り」 とも言います。

手首を身体の前方で縛る 「前手縛り」 に対し狭義の意味で、腕を身体の背後に廻し、背中側で、手首を縛ることを 「後手縛り」 と呼ぶ場合もありますが、「後手縛り」 と言えば通常はこの 「高手小手縛り」 のことを言います。

高手(たかて)とは、腕の肘から肩までの部分を、小手(こて)は、剣道などで有名な呼び名ですが、手首から肘までの部分をさします。
料理人風に説明すれば、手羽先の部分が 「小手」 で、手羽元の部分が 「高手」 ということになります(笑)

「後ろ手縛り」 も、いろいろな縛り方がありますし、ひとによってもさまざまです。
後ろ手で手首(小手)を縛ると同時に、腕の部分(高手)の自由が利かないように身体に固定しているものは基本全て、高手小手。
「高手小手」 というと、「高手小手に縛り上げる」 みたいな表現は古くからありますが、SM の縛りはそもそもそんな由緒を求めるような 「高尚なもの」 ではありません。
縛り方自体は、捕縄術(とりなわじゅつ) 的な要素も多く取り入れられてはいますが、人の捕獲を目的とした早縄や、護送時の拘束や監禁等を目的とした本縄などとは、そもそも目的からして違います。

とは言え、皆さんそれぞれが 「こだわり」 をお持ちです。
縄師に師事して教えを乞い、そして、自ら盗んだものを大切にするような方もいれば、受け手の感覚や安全性など実践的なものを重視する方もいます。また、緊縛写真など緊縛の芸術性を追求されている方など、さまざまです。
緊縛は、和彫りの刺青(いれずみ)同様、奥行きと深みそしてエロティシズム漂う、日本の代表的なサブカルチャーのひとつ。

この 「後手縛り」 は、その代表と言えるものです。
時代モノの番組で、刑罰に処せられる罪人が、市中引き廻しにあったり、処刑されたり、あるいは、盗賊に捕らえられてみたいなシーンでは、お馴染みの縛りでもあります。


縛り方はいろいろですが、まずは後ろ手にして小手(手首)を縛り、残りを胸縄にして、胸と高手(腕)を一緒に巻きます。
胸縄は、胸を挟(はさ)み込むように、乳房の上と下に巻き、下の胸縄の部分は、縄が抜けないように、腕と胸の間に 「閂(かんぬき)」 を通すのが一般的ですが、下の胸縄ではあえて腕を縛らないひともいます。

自分の場合は、雰囲気を高めながら、縛っていく場合は、小手から順に縛っていきますが、手っ取り早く巻きたいときや、途中で休憩をはさんで、長い時間楽しみたい場合には、途中で手首の部分を解(ほど)いてあげれるように、胸縄から巻いたりしています。

首縄もバリエーションのひとつ。背後から、首の付け根を介して、胸縄の下縄に通し、V字に折り返して、逆の首から戻すようにして、乳房の挟み具合を調整し、胸縄を固定します。
これも、乳房を挟み込むことによる刺激を重視する場合と、乳房がきれいに見えるようにする場合とで変わって来ますが、そもそも、乳房の大きさや質感はひとそれぞれ違います。

この辺の縛り方は本人の趣向にもよりますが、胸がひしゃげるほど挟みたいひともいれば、ブラではありませんが、それこそ一番見栄えのする状態にキープできるように、いろいろと縛り方をアレンジするひとなどさまざま。


この縛りは、一番の負荷は手首に、続いて、胸縄に掛かります。手首の痺(しび)れやうっ血には注意する必要があります。
ホムンクルスのマップ は有名ですが、手や指の神経は、特に繊細です。後ろ手に縛って、仰向(あおむ)けにするような場合には、手首に負担がかからないように、座布団や枕などで、腕に負荷が掛かりすぎたりしないような配慮も必要です。
高手をかける場合も、腕の外側や裏側には、神経が集中しているので、強く縛り過ぎないこと。

そもそも、胸部は、呼吸で伸縮する部分なので、きちんとした姿勢で縛らない限り、いくら力任せに縛ったところで所詮(しょせん)ゆるみます。

今でこそ、ロープの織り込み自体に伸縮性を持たせた 「綿ロープ」 などもありますが、そもそもは、伸縮がほとんどない麻縄中心の世界です。
そんな 「緊縛」 の真骨頂は、縛る際に縄を編(あ)み込むようにすることで、全体の縛りに伸縮性を持たせ、結果として、部分的に弛(ゆる)みが生じないようにすること。

力任せに縛って、縛るほうは、それで満足できるのかも知れませんが、折角(せっかく)自分に信頼を寄せてくれているパートナーを傷付けた上に、恐怖感を植えつけるようでは、本末転倒。どんなに強がってみたところで、未熟以外のナニモノでもありません。


「後ろ手縛り」 の良さは何か?

何で自分がこれが好きなのか・・・ 実は、まだ良く解かってません (苦笑)
でも、自分の心を問えば、やっぱり 「たまらない」 のは、縛られたときに受け手がそれなりに、その人なりに 「観念する表情」 を見せること。それに尽きます(笑)

観念すること。

それは、ある意味、その受け手が、この世のしがらみや、社会的な常識そして倫理や道徳と言った 「社会的束縛」 から逃れる瞬間であります。


以前紹介した、海老縛り(胡坐縛り)や蟹縛りが、受け手の羞恥心を煽(あお)る縛りであるとするならば、高手小手縛りは、受け手に従属と服従を求める縛りと言えます。

そして、自分が愛し、そして尊敬する者として許容している 「主」 に対する 「従属」 そして 「服従」 の瞬間こそ、本来は、受け手である M にとっては至極の時間である筈です。
だからこそ、縛り手にとっても、受け手にとっても価値のある 「縛り」 として、多くのひとに認識されているのでしょう。

そういう意味では、やはり、SM そして 「緊縛」 を代表する 「縛り」 と言っても、過言ではありません。
2016/01/07

【縄02】 蟹縛り

緊縛の代表と言えば、普通の方であれば 「亀甲(きっこう)縛り」 と答えそうなところですが、実際に緊縛を愛好してる人達の間で最もポピュラーなのは、何と言っても 「後ろ手縛り(高手小手縛り)」。
出来れば解説も、そういう順番でしたかったのですが、最初に 「海老縛り」 を紹介してしまったので、今回は 「蟹(かに)縛り」 を紹介します(笑)

蟹縛りも、海老縛りと同様、古くからある縛り方のひとつ。
手を股の下から通して、足の外側のほうから手で踵(かかと)を抱(かか)えるように持たせ、腕と脛(すね)を、それぞれ左右別々に縛っていく縛り方です。

蟹は、お湯の中で暴れたりして、足がバラバラになってしまうため、茹でる際に前以(も)って結んでおきますが、左右別々に手足を縛るところが似てることから、このような名前が付いたのかも知れません。

この縛りも、海老縛りと同様、陰部が露(あらわ)になるのが特徴ですが、海老縛りのように、背骨や腰に掛かる負担は強くありません。

この縛り方は、股を閉じようとしても、肘(ひじ)の関節が極(き)まっているために、腕が閊(つか)えて閉じることが出来ません。また、手を引っ張ったり、腕に力を入れると逆に、股が開いてしまうので、羞恥心の強い女性には、大変いたたまれない縛り方と言えます。

ただし、この縛り方も、強く股を閉じようとした場合は、肘に強い負荷が掛かりますので、そういう責めをする場合には、別途、足を閉じられないように固定する必要があります。

最近は、開脚の度合いも大きいためか、M字開脚での縛りの方が主流のようです。しかし、海老縛りもそうですが、スイングチェアとか、開脚で縛るのに便利な椅子がなくても出来るのが、蟹縛りの便利なところでもあります。

言葉責めで、じっくりと羞恥心を弄(いじ)るのには、適した縛りと言えますし、場所を選ばないので、覚えておいて損のない縛りと言えます。
2016/01/06

【縄01】 海老縛り

海老縛りは、上半身を後ろ手で縛り、足を胡坐(あぐら)で縛ったものを、お互いに近づけるような感じで、丁度、お節(せち)に入っている 「海老のつや煮」 のように、海老が丸々ような感じに縛る縛り方です。
胡坐縛りは、足をあぐらに組んで、足首の辺りを縛る縛り方の総称ですが、海老縛りを、胡坐縛りと呼んでいる人達も少なからず居るようです。

この縛り方の醍醐味は、やはり、胡坐(あぐら)の部分にあります。

胡坐の足を、持ち上げるような感じで、きちんと手前に引き込まないと、いけないのですが、これがきまると陰部が大きく露出します。
あとは、上半身と下半身が共に、ガッツリと固定されるために、身体を動かす余地がほとんどないこと。このため、拘束した感・拘束された感満点ではあるのですが、ただし、難点は、不自然な体勢で固定するために、身体への負担が大きく、長時間の緊縛には向かないこと。

身体の硬い人はもとより、身体の柔らかい人に対しても、限界まで曲げようとしたりしますが、特に身体に力が強く入る動作を伴う場合は、腰や股関節に負担を掛けますので、要注意です。

海老縛りは、仰向けであそこを開帳させても楽しめますし、うつ伏せに倒して、四十八手にもある 「座禅転(ころ)がし」 [*1] のようにしても、どちらも楽しめる縛りですが、やはり体勢が不自然であるだけに、無理な力が掛からないような配慮が必要です。


先日、偶然にも最近、この 「海老縛り」 をされた女性と話をする機会があったのですが、彼女曰く(いわく)、「あぐらで縛って、それを首にくくりつけるような・・・」 みたいな説明をしていましたが、どうやら、そのときに、首の筋を痛めてしまったみたいな様子。
彼女は、話の中で必死に 「主(ぬし)」 のことを庇(かば)い、「受け手である自分のほうが悪かった」 みたいな発言を繰り返すのですが、そのときにその女性に言ったのは

「その主、経験は大丈夫か?」

の一言です。

緊縛では、手首などもそうですが、神経や筋が集まってる部分は、極力、圧迫しないようにします。
当然それは 「首」 も同じです。って言うか、「首」 に縄を掛けるなんて厳禁です。
縄には当然 「力」 が掛かりますから、首に縄を掛けると、その力は首の骨に掛かります。
そればかりか、何かの拍子(ひょうし)に縄が抜けてしまい、バランスが崩れたときに、首を絞(し)める要因にもなりかねません。

海老縛りでは、胡坐を縛った残りの縄を、上半身を引き寄せるために使います。しかし、この縄は首を通しますが、引っ掛けるのは、首ではなく、後手縛りの胸縄の背中の部分です。
首が後傾しないで、前屈(かぎ)みに首を固定しやすいように、縄で首を支える場合はありますが、当然、そのときは 「縄の力」 が入らないように縛るのが普通です。

海老縛りは、写真などを見る限りでは一見、胡坐(あぐら)をしばった縄を首に巻いて、これを寄せるように縛っているように見えますが、実際は、首ではなく、上半身を後ろ手に縛った胸縄などに通しているはずです。

そもそも、海老縛りは、江戸時代の拷問である 「海老責め」 が原型です。
その格好を維持するだけでも、苦痛が伴うものですし、長時間の緊縛は、全身のうっ血を引き起こし、生命の危険が生じる場合もあるので、いつも以上に注意が必要です。


[*1]  座禅転がし
上半身を後ろ手にして座禅を組ませ、そのまま前に押し倒した状態でする体位を、四十八手では、「座禅転がし」 と言います。
上半身は、後ろ手だけでも、高手小手でもどちらでも構いませんが、座禅を組ませると、手が使えない状態では、一人ではほどけないためか、座禅転がしの場合は、特に足は縛らないのが普通です。
自分も身体が硬く、座禅が出来ませんので、他人のことを言えた義理ではないのですが、最近は、身体が硬く、座禅の出来ない女性が多いので、「座禅転がし」 は、もう、かなりご無沙汰してます (><)