性欲のスイッチ(11)
昨日の 「性欲のスイッチ(10)」 の続きです。
昨日の記事で、「生理前に性欲が強くなるという女性も少なくありません」 と書きましたら、いろいろとご意見を頂戴致しました。これは自分の経験上、そのように表現する女性が多かったということだけなのですが、「女性の性欲」 については、いくつか 「説」 があるようです。
女性の月経周期と 「性欲」
まずは、「女性の性欲」 は、「排卵」 により高まるという説。
確かに、「排卵」 によって性欲が高まるのであれば、女性の 「性」 の衝動で 「セ/ックス」 が行われるのであれば、「妊娠」 する確率は高まるので、理屈としてはあっていそうな気もします。
(1) 医学的見解
実際に、某女医を含め、医学的には 「排卵期」に男性ホルモンである 「テストステロン」 の分泌が高まることから、女性の 「性欲」 はこの時期に高まると認識されているようです。
女性の性欲が最も高まりやすいのは排卵日周辺。性欲はテストステロンという男性ホルモンによるものと、ホルモンに関係なく素敵な男性を見てムラムラする大脳新皮質の働きによるものがあります。
コメント: 産婦人科医 宋美玄先生
また、中には、「生理前に女性の性欲が高まる」 という話は、「都市伝説」 と言い切っている記事なども見掛けます。
「女性は生理前に性欲が強くなる」という話は、以前から都市伝説的に語られています。その理由として挙げられるのが、男性ホルモンの一種であるテストステロンの作用です。
テストステロンは男性ホルモンですが、女性の体内でも微量ながら分泌されています。その分泌量が生理前になると増加するため、性欲が強くなるといわれているのです。
一応、この記事も医師の 「監修」 を受けていることになっています。
理屈的にはそうなのかも知れませんが、「性欲」 とは人が脳で感じる衝動です。はっきりとここまで言い切ることが出来るものなのか。(^^;
(2) 統計的見解
それで思い返したように、昔にアクセスしたことのある資料を、ちょっと調べてみました。
それがコチラ。
有効数が5000件を超える大規模アンケートです。
こちらの調査によると、「女性の性欲が高まる時期」 を回答した中で、最も多かったものは、「月経がそろそろ始まる頃」 という回答で、26.2%。
続いて、「月経と月経の間(排卵期)の頃」 という回答が、14.1%。
それに、「月経が終わった直後」 6.7%、「月経(出血)の最中」 2.3% が続きます。
「月経と関係なくいつでも」 というツワモノが、20.1%、そして、「性欲の高まりを感じたことがない」 と回答する 30.5%の女性も、決して少ない数ではありません。
統計的には、「実態」 はむしろ、医者が 「都市伝説」 と呼ぶ 「月経がそろそろ始まる頃」 が一番高い結果になっています。
勿論、この 「性欲」 の高まりが、女性を支配する数々の 「ホルモン」 の影響を受けていることは否定しませんし、ホルモン分泌には、個体差があるでしょうから、人と違ってもおかしいことではありません。
しかし、実態から乖離した 「理論」 や 「学説」 に意味などあるのでしょうか。
(3) 最近の研究
疑問に感じて、さらに最近の動向を調べてみると、ガーディアンに掲載されていたこんな記事を見つけました。
「時代の流れに従う:生理は性欲にどのように影響するか(Going with the flow: how your period affects your sex drive)」
そして、この記事の中で、カリフォルニア大学のサンタバーバラ校より発表されている、次のような論文が引用されていました。
カルフォルニア大のサンタバーバラ校の心理脳科学部の研究者が、43名の女性を採用し、毎日生理周期を確認し、唾液を採取すると共に、問診を渡して、自/慰やセックスの有無など性的な行動を確認すると共に、昨日はセ/ックスをどのくらいしたかったかを1から7の値で答えてもらう調査を行ったところ、「エストロゲン」 と 「プロゲステロン」 という二つの主要なホルモンが確認されたそうです。
そして、「エストラジオール」 という 「エストロゲン」 の一種が 「性欲」 を掻き立てているのに対して、「プロゲステロン」 は 「性欲」 を抑制している可能性が確認されたそうです。
さらに、男性ホルモンである 「テストステロン」 は、女性の 「性欲」 には、強く関与していないことが確認されたそうです。
また、この調査により、女性の 「性欲」 は、前の生理と次の生理の間で、次の生理が来るおよそ14日前の 「排卵時」 にピークを迎えることが確認されたそうです。
この調査により、医者の言っていることは、間違いではなかったことが確認されましたが、しかし、女性の 「性欲」 を高めているのは、「エストラジオール」 であって、女性の 「性欲」 に、「テストステロン」 は強く関わっていない可能性が高いという結果を示しています。
話は変わりますが、テキサス大学の心理学者である、クリスティナ・デュラント(Kristina Durante)とノーマン・リー(Norman Li)の両氏は、経口避妊薬を飲んでいない17-30歳の女性52人を対象に、月経周期中にエストラジオールの量を2回にわたり測定し、「エストラジオールが多い女性は、自分自身を魅力的だと思うと同時に他人の目にも魅力的に映り、浮気をする傾向も高い」 とする研究成果が、2009年発行の英専門誌「バイオロジー・レターズ(Biology Letters)」に発表されているそうです。
考察
では何故、ジェックスによる日本での調査では、「生理前に性欲が高まる」 とする回答が多いのでしょうか。
これは、ガーディアン紙のライターである 「モナ・チャラビ(Mona Chalabi)」 も書いていますが、ホルモンだけではなく、「性欲」 にはさまざまな要素が関わっているということなのだと思います。
「月経前症候群(PMS)」 の女性の場合、メンスの期間は気分が揺れ動き、月経の痙攣痛などもあって 「性欲」 が失せたり、「性欲」 が高まりづらかったりしますが、人によっては、メンスの期間は妊娠する確率が低いことから、性的なエネルギーに満ちるような感覚を覚える女性もいるようです。
また、「性/交痛」 がある人の場合は、生理の終わりなどは、まだ膣内に潤いがあることから、自然と好む人もいるようです。
結局、「生理」 自体もそうですが、生理や性欲に関わる 「ホルモン」 の分泌も、人によってそれぞれ個人差があります。これらの違いによって、月経周期のどの時点で 「性欲」 を強く感じるかが変わってくるというのが、今のところ一番有力な考え方のようです。
「Going with the flow: how your period affects your sex drive」
「Why You're So Horny During Your Period」
「ジェックス」 のレポートでは、「月経とは関係なくいつでも」 と回答したのが、60代の女性で 31.6%、「月経と月経の間(排卵期)の頃」 が30代で 20.4%、「月経がそろそろ始まる頃」 と回答したのが、20代から40代で高いなど、年齢によりその特徴が異なっているようです。
生理の軽い重いも個人差がありますし、年齢によっても、ホルモンの分泌は変わってくるでしょう。
生理前のイライラする感覚が、もしかしたら、強く 「性欲」 を感じたときの 「悶々」 とする感覚に近く感じられるのかも知れませんし、生理前の鈍い痛みが、疼(うず)く感覚と誤認されているのかも知れません。
(つづく)
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