M(被虐性向)の裏に隠れているもの
我が強いから S、引っ込み思案だから M ではない
おとなしいタイプ、物静かなタイプだから 「M (被虐性向)」 とは限りません。
実際、気が強くて物事にも積極的。「わたしはS・・・」 とばかり思っていた女性が、実は、「M だった・・・」 なんてケースも少なくありません。
キツイ性格ゆえに、「自分はS!」 と思い込んでる女性も居たりしますが、そういう人の多くは、フラストレーションを溜(た)め込んでいたり、単にヒステリックなタイプなだけ。
性格と性癖は必ずしも一致しません。(苦笑)
女性の多くは、基本的に 「M 性」 を持ち合わせています。
そして、その性向が強く表れる場合、何かしらの 「闇」 を心に抱えている場合が少なくありません。
「ドM女子」 の内にあるもの
小さい頃に性的ないたずらをされた記憶などは、大人になってからも、心の片隅に、ホコリを被った状態で、大きな瘡蓋(かさぶた)が残されていたりしますし、完璧な母親の姿が、無意識のうちに 「インナーマザー」 の形で心を蝕(むしば)んでいる場合などもあります。
その苦しみを緩和するために、「自☆傷」 を繰り返す子もいれば、拒食症や過食症といった摂食障害として、出てくる子もいますし、若い時分であれば 「ヤリ☆マン」 に走る子もいます。
生きるための活力とある、性や食といった生理的欲求と、自己との折り合い。自分のアイデンティティ(自己同一性)や価値観に絡む葛藤(かっとう)という表現が適切かどうか分かりませんが、そんな印象を受けます。
出せない苦しみ
異物を吐き出したいのに、自分ではどうやっても吐き出せない苦しみ。
多くの人は、その苦しみを、家族や親友といった自分の身近な人にさえ、話せていなかったりします。そして、その傷は、アコヤガイの体内に埋め込まれた異物のように、徐々に 「真珠」 へと変化し、そしてそれが 「M 性」 の核になっていたりします。
社会に出て、バリバリと仕事をこなしているような、プライドが高く、自分が傷付くのを怖れる女性の場合は、戦闘服を身に付け、その上に 「鎧(よろい)」 を身に付けています。しかし、それを脱ぐ場所がないと、自分では脱げなくなってしまうのです。
こういった多くの人は、出来れば、異物は外に吐き出したいし、鎧や戦闘服を脱いでリラックスしたい。もし、異物が吐き出せなかったにしても、異物を持っている 「ありのまま」 の自分を受け容れて欲しいのです。
しかし、自分では吐き出せないし、鎧も脱げない。だからこそ、悩み悩んだ挙句(あげく)に、自分の身を 「S(加虐性向者)」 に委(ゆだ)ねるのです。
何故委ねるのか
何故、S に対してかと言えば、S は、M に敏感だからです。
少なくとも M は S に加虐されることによって、M 自身で自虐する必要はなくなります。S と M は同じ土俵にあるわけです。
そして、同じ土俵に居るからこそ、異物に気がついて貰えると無意識に期待しているかどうかは分かりません。「ありのまま」 の自分を出しても、受け容れて貰えるのではないか、という期待もあるのかも分かりませんが、多分、感覚的に 「楽」 で 「リラックス」 出来るのでしょう。
S の在るべき姿
SM は、単なる 「責める道具」 を使いこなす 「責めの技術」 の世界ではありません。
確かに 「道具」 も 「型」 も 「技」 も 「技術」 も大事です。しかし、最も大事なのは 「心」 です。
S について言えば、どんなに技術を身に付けていても、自分のことばかりを考えて、M を見つけては 「うへへへへっ」 とか 「クックックッ」なんてやっているようでは、まだまだ半人前です。
自分の餌食(えじき)になる M なら、痒(かゆ)い背中は掻いてあげるのは当たり前w
序(ついで)に、背中をトントンと叩いてあげて、異物を吐き出させてあげるくらいの器量は身に付けて貰いたいもんです。(笑)