2ntブログ
2018/05/23

【緊縛小説】 縄絡み (15-1)

§15の1 置いてけぼり

 

ファンのモーターが回る、

大きな音で、目を覚ますと、

自分は、ベッドの上で寝ていた。

 

見回しても、お姉さんの姿はなく、

音のする、洗面台の方に行ってみると、

彼女はタオルを身体に巻き、

ドライヤーを掛けている最中だった。

 

お姉さんは鏡越しに、自分を見付けると、

即座に振り向いて、

 

   「昨日、精液を髪の毛に付けたでしょ?

    洗うの大変なんだからね!」

 

と怒っている。

 

どうやら、背中に出したときに、

勢い余って、髪の毛まで飛んでしまったようだ。

 

   「すみません・・・」

 

と謝るものの、彼女の機嫌は、一向に戻らない。

 

結局、

 

4時も廻り、慌ただしく

チェックアウトの準備をすると、

彼女は一言も口を利かず、

先に歩いて行ってしまい、

 

仕方なく、また一人で、

まだ夜の明けていない

暗い新宿の街を、

駅の方まで歩いて行った。

 

***

 

それからも、飲み会とかが、特に入らない限り、

火曜日か水曜日のいずれかに、

お姉さんは、練習会に参加してくれて、

 

自分との逢瀬は、

生理があって、ずれる場合もあったが、

だいたい、最初の頃は、

一週間から二週間に1回。

週末の金曜日に会っていた。

 

吊りの練習の方は、

普通に、平吊りが出来るようになり、

背面吊り、横吊りと、覚えて行ったが、

 

年末年始が近付いて来ると、

若手も仕事が立て込むようになり、

お姉さんも、忘年会などの職場の行事や、

仕事以外にも、お店のお手伝いが忙しくなり、

練習会も、デートのどちらも、

次第に回数が減っていった。

 

自分は、と言えば、1月の下旬辺りから、

後期試験があり、まだ、四年に進級出来るか

どうかは分からなかったが、

研究室選びや、進路の話なんかもあり、

忙しくなってきて、

 

次第と、若手やお姉さんとは、なかなか

会えない日が、続くようになった。

 

―――――――――――――――――

 

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