【緊縛小説】 縄絡み (15-1)
§15の1 置いてけぼり
ファンのモーターが回る、
大きな音で、目を覚ますと、
自分は、ベッドの上で寝ていた。
見回しても、お姉さんの姿はなく、
音のする、洗面台の方に行ってみると、
彼女はタオルを身体に巻き、
ドライヤーを掛けている最中だった。
お姉さんは鏡越しに、自分を見付けると、
即座に振り向いて、
「昨日、精液を髪の毛に付けたでしょ?
洗うの大変なんだからね!」
と怒っている。
どうやら、背中に出したときに、
勢い余って、髪の毛まで飛んでしまったようだ。
「すみません・・・」
と謝るものの、彼女の機嫌は、一向に戻らない。
結局、
4時も廻り、慌ただしく
チェックアウトの準備をすると、
彼女は一言も口を利かず、
先に歩いて行ってしまい、
仕方なく、また一人で、
まだ夜の明けていない
暗い新宿の街を、
駅の方まで歩いて行った。
***
それからも、飲み会とかが、特に入らない限り、
火曜日か水曜日のいずれかに、
お姉さんは、練習会に参加してくれて、
自分との逢瀬は、
生理があって、ずれる場合もあったが、
だいたい、最初の頃は、
一週間から二週間に1回。
週末の金曜日に会っていた。
吊りの練習の方は、
普通に、平吊りが出来るようになり、
背面吊り、横吊りと、覚えて行ったが、
年末年始が近付いて来ると、
若手も仕事が立て込むようになり、
お姉さんも、忘年会などの職場の行事や、
仕事以外にも、お店のお手伝いが忙しくなり、
練習会も、デートのどちらも、
次第に回数が減っていった。
自分は、と言えば、1月の下旬辺りから、
後期試験があり、まだ、四年に進級出来るか
どうかは分からなかったが、
研究室選びや、進路の話なんかもあり、
忙しくなってきて、
次第と、若手やお姉さんとは、なかなか
会えない日が、続くようになった。
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