家庭料理の話
前回の 「執着を捨てる」 の記事で、美味しいご馳走に例えて、話をしましたが、
とある読者さんから、
「どんなに美味しくても、どんなに大好きな食べ物でも、
こころがこもってないと染みない」
というご意見をいただきました。その方いわく
「家庭料理が美味しくて飽きないのは、其処なんだね」
とのことでしたが。
確かに自分も昔ついた親方から、「日本料理も全ては家庭料理が基本にある」 と教わりました。
技術のことを言っているのではなく、心のことであり、そして、各地方に根付いている味や風味。
それが、京料理という狭い器に収めるのではなく、日本料理の根源として意識するという教えです。
日本人に限らず、各人の味覚や味付けは、それぞれの家庭の家庭料理から出発します。
京料理の場合は、出汁の香りと具の味。そしてこの二つを壊さないように仕上げる 「三位一体」 の感覚であり、最大限に引き出す味付け。
なので、減塩とかそういう頭で考える代物ではなく、あくまでも 「舌」 で感じる世界なのです。
お店では、一応 「割り」 や 「レシピ」 は決まっていますが、最後に判断するのは 「舌」。
なので、自分は読者の意見は、ごもっともと思います。
皆さんが家庭を大事にすれば良いのです。
お店(飲食店)は、皆さんの家庭で補えないところを補う存在。
家庭という 「ケ」 から離れて、そして、「ハレの日」 を演出するためのものです。
「ハレ」 だからこそ、職人は其処に神経を集中させる。
忙しいお店では、常に厨房の中は戦争です。
みんな苛立っている。
何故かと言えば、美味しいものを一番美味しい状態で、お客さまに召し上がって貰いたいと思っているから。
厨房の人間は、少なくとも、心あるお店の場合は、そうだと思います。
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外食はね、「ハレ」 なのです。(笑)
そして、人情を楽しみたければ、そういうお店に行けばいいわけですし、たまには、至極のものを食べるのも良いこと。
コストパフォーマンスも重要ですが、美味しい食事は、単に食べ物の美味しさだけではなく、その店の雰囲気や、その店の大将や常連客の醸し出す雰囲気も重要です。
でも、そんなお店でも、生活があるのです。
全てを頼られて、「ハレ」 も 「ケ」 もサポート出来るお店なんか、ありゃしませんし、当然ですが、毎日 「ハレの日」 を過ごせるお客もいません。(苦笑)
そもそも、毎日が其処であったなら、其処は 「ハレ」 ではなく 「ケ」。(苦笑)
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なので、自分も40代の頃、親方に言われました。
「そのくらいの年齢になったら、寿司屋とか、割烹とか、そういうところで飲まないとな!」
いつまでも、吉野家とか、チェーン居酒屋では、人間としての厚みに影響を及ぼすということ。
コストパフォーマンスだけで、自分の生き方を制約するなということです。
「ハレ」 と 「ケ」 のケジメであり、ケケケケケケー (笑)
たまには、「武士は食わねど高楊枝」 も必要であるということ。
要は、ケチらずに、「ハレ」 では発散し、「ケ」 では真面目に。
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そう言えば、昔は、自分の先輩に 「銀座のクラブ」 に連れていって貰いました。
会社の経費ですがwww
クラブに行ったところで、何が美味しいわけでもありませんし、常連でなければ、何も粋なことがあるわけではないので、連れていかれた方としては、特段メリットがあるわけではないのですが。(^^;
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「ハレ」 と 「ケ」 の、区別すら出来ない奴隷なんか、いりません。(苦笑)
自分ばかりが、欲しがるだけ。
やりたいだけの 「やらせろ男」 と差ほど変わりません。(苦笑)
でも、区別したくても、出来ない子。
それでも自分に着いて来て、頑張る子には、自分は 「手」 を差し伸べます。(笑)
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自分の言いつけを守り、思いっきり我慢してる子には、自分の胸の中で大泣きさせてあげます。w
「主(Lord)」 とは、「飼い主」 のことではなく、絶対的な存在を意味します。
「ハレ」 と 「ケ」 の区別を如何につけるかが、「粋」 と 「無粋」 の境目。。
どんなに見た目は 「美人」 でも、「無粋」 は 「ブス」 です。(笑)
見た目なんて、どんどん歳取れば、劣化するのが定め。
甘やかされて育ったひとは、苦労するかも知れませんが、それは致し方ありません。
表面的な 「美」 なんか、時間と共に劣化する虚像です。
自分が見ているものは、その相手の心。
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泣いて地団駄を踏んでる子の場合、それが子供ならば、星飛雄馬の明子姉ちゃんとか、はじめてのお買い物並みに、陰で見守りますが (苦笑)
オトナの場合は放置して、先に行きます。(苦笑)
「粋」 も 「無粋」 も一色淡で、全部が 「アンニュイ」 なんて無理。
主の言葉さえも響かないのは、主ではないということ。
自分は、「来る者は拒まず、去るものは追わず」 ではありますが・・・・
駄々を捏ねる場合は、自分のポジションをどんどん下げるというリスクを、忘れないように。
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嫌なお店なら、二度と行かなければいいだけの話。
100人中100人に好かれる店なんて、無理ですし、
お店の方も、お店のポリシーを理解できないお客に対しては、陰で 「塩」 を撒きます。
何回も言うように、
外食は、家庭における 「ハレ」 の演出には使えますが、「ケ」 を含めて全てにおいて利用する場合は、お店の格にも寄りますが、それなりの出費は必要であるということ。
基本的には、外食は、家庭に不足する 「一部分」 しか補充できないということ。
しかし、昔は 「店屋物」 みたいに偏見で見られたりもしましたが、本当の蕎麦屋もラーメン屋は、きちんと出汁をとっています。
最近は、出汁の香りのする 「きちんとした仕事」 をする店も少なくなってきましたが・・・・
だからこそ、生きるのは、ホンモノの味。
うちの店が高いなら、どうぞ他のお店に行かれてください。
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