言葉責め(2)
「言葉責め」 で書き始めて、随分と前置きが長くなってしまいました。苦笑
SM における 「言葉責め」。しかし、イザこうやって記事にしようとすると、自分の中で ”体系化” されたノウハウがあるわけでもないので、なかなか難しいものです。苦笑
「言葉責め」 で、まず言えること。それは、「言葉責め」 とは、”言葉” を介した 「心理戦」 であるということ。
言葉による応報は何も 「SM が御本家」 というわけではありません。口喧嘩しかり。ヤクザやチンピラなんかの脅迫(きょうはく)・脅し・恫喝(どうかつ)しかり。学校での言葉による ”イジメ” も本質は同じです。
言葉でまず優位性を確保し、続いて言葉で攻撃します。
しかし、どんなに ”汚い言葉” で相手を罵(ののし)って、自分が ”スッキリ” したところで、相手に十分な ”インパクト” を与えられなければ、”責め” としては意味ありません。
オラオラ系の人は、兎角そのような妄想に取り憑かれやすいのですが、責めるからと言って、大声を張り上げれば良いという訳でもありません。また、相手を罵倒したり、卑下するばかりが 「言葉責め」 ではありません。
自分の感情を言葉に出し切って ”スッキリ” するのかも知れませんが、SM でそれをやってしまっては、あまりにも ”独(ひと)り善(よ)がり”。そこまでくるともう、単なる欲求不満の極み。”マスターベーション” 以外のナニモノでもありません。(苦笑)
せめて、「責め手」 を謳う以上は、”責め方” をある程度は熟知し、言葉を発するのは沈着冷静に。責めたときの ”責めの効果” や ”相手の反応” を想定しつつ発しないと、様(さま)になりません。
ペテン師が、自ら用意した架空の世界に ”鴨” をうまく乗せるように、まずは、”受け手” を旨く、”自分の世界” に誘い込む。そして、受け手から想定通り、もしくは、想定以上の反応が返ってきたときに、はじめて、ほくそ笑むわけです。
そして、「言葉」 で相手の 「心」 を縛り、「言葉」 を手綱(たづな)のように扱い、相手をコントロールする ことこそが、「言葉責め」 の醍醐味であり、真骨頂なのです。
「言葉責め」 は、「言葉」 を使う以上、”責め手” と ”受け手” の間で ”言葉” が通じないと始まりません。ですので、人の話を聞いてない人、聞けない人は、”言葉責め” はあまり向いていません。また、自分のことにしか関心がなく、相手の状況を慮(おもんぱか)ったり、相手の反応を観察出来ない ”自己中” の人には、”言葉責め” は出来ません。
SM における 「言葉責め」 は、お互いの雰囲気を高めるための ”相互のコミュニケーション” であり、”言葉のキャッチボール” であるということ。
では、「言葉責め」 では、どんな言葉を用いられるのか?
「言葉責め」 の基本は、「毀誉褒貶(きよほうへん)」。誉(ほ)めて貶(けな)す。そして批評批判が基本となります。
「言葉を発する」 という意味を表わす ”表現” も、その人の持つ感情や、その言葉の持つ性格、あるいは、言葉の作用や、受け手の捉え方などニュアンスの違いによって、様々な呼び名があります。ちょっと分類しただけでも、これだけある。
1. ネガティブに作用する言葉 (ダウナー)
叱(しか)る・貶(けな)す・罵(ののし)る・謗(そし)る・嘲(あざわら)う・
論(あげつら)う・冷(ひ)やかす・見下(みくだ)す・茶化(ちゃか)す
2. ポジティブに作用する言葉 (アッパー)
誉(ほ)める・労(ねぎら)う・宥(なだ)める・賺(すか)す
3. 相手の心理的状況を表わす、あるいは、相手の心理に影響を与える言葉 (トランス)
辱(はずかし)める・唆(そそのか)す・弄(もてあそ)ぶ・揶揄(からか)う・
誑(たぶら)かす・脅(おど)す・欺(あざむ)く
「言葉責め」 では、言葉のニュアンスだけでも、少なくとも、これに 「無言」 を加えた分の 「バリエーション」 が存在することになります。
重要なのは、「言葉責め」 に使われる言葉は、「貶(けな)し言葉」 ばかりではないということ。
「言葉責め」 のポイントは、「揺さぶり」 です。”飴” と ”鞭” ではありませんが、「誉め言葉」 と 「貶し言葉」 その他を上手に使い分けて、相手の心を 「揺さぶる」 ところにあります。
そして、「言葉責め」 のゴール。ここをしっかり認識されていない方が意外と多いのですが、ただ単に優位性を確保しただけでは駄目。「言葉責め」 のゴールは、相手の理性を全部言葉で封じ込める。そして、「言葉」 で相手を制圧し、最終的に相手を完全に承伏し、掌握すること です。
理性を麻痺させて、快感に集中させることこそが目的 なのです。
では、どの 「言葉」 が、その子に一番影響を与える言葉か?
それは、相手の M 性にもよります。羞恥に敏感な女性であれば、羞恥心を責めるのが定石です。羞恥に悶(もだ)えつつも、命令を優先させることで追い詰める。被虐志向の高い子の場合は、罵声によって、惨(みじ)めで絶望的な状況あるいは精神状態に追い詰める。
言ってしまえば、どちらもその M 性が、性的に高ぶる方向への 「追い込み」 なのです。
なので、言葉そのものも重要ですが、それ以上に大切なのは雰囲気づくりです。言葉の抑揚や、声の質もあります。話す速度もある。
確かに、女性が惹かれやすい 「声の質」 というものもあります。しかし、自分が ”天性の声色” でなかったとしても、諦める必要はありません。
「受け手」 からして見れば、「言葉」 の内容もさることながら、”その人” が発しているからこそ良い訳です。
M 女は、誰に対しても M ではないということ。信用と信頼が確立しており、自分が 「主」 と認めたひとに対してだけ M 性を発揮するものです。
「言葉責め」 は、ある意味、そんな M 女に 「主」 を ”再確認” させ、そして、「性の高まり」 に追い込んで行く作業です。
「言葉責め」 で一番大事なのは、相手をしっかり見つめて、二人だけの世界を確立してあげること。そしてその世界で、”愛” を込めて、自分の ”言葉” で追い込んであげることです。
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