2ntブログ
2016/03/19

言葉責め(1)

身体は 「縄」 で縛れますが、心を縛るのは 「縄」 ではなく 「言葉」。

特に、SM において、「言葉」 は大変重要な道具です。

 

SM で使われる一般的な道具の類(たぐい)。

赤いロウソクもそうだし、バラ鞭なんかもそうですけど、言わば、催眠術で使われる ”糸で吊り下げられたコイン” のようなもの。キッカケを与えるためには重要かも知れませんが、一番大事なのは、責めと同時に発せられる ”言葉” なのです。

 

SM の真骨頂は 「心理戦」。 心に揺さぶりを掛けるのは、すべて 「言葉」 です。

 

 

諺(ことわざ)では、「苦言(くげん)は薬なり、甘言(かんげん)は疾(やまい)なり。」 なんて言葉があります。苦言とは、忠言(ちゅうげん)を意味します。忠言とは、真心の込もった忠告や諌(いさ)める言葉のこと。

 

「良薬は口に苦けれど病に利あり。忠言は耳に逆らえど行いに利あり。」

 

先の諺は、「苦言」 を聞くのは確かに耳の痛いもの。しかしそれは良薬と同じで、確かに 「苦い」 けれども、しかし 「薬」 のような効果があるのに対して、「甘言」 は、耳には大変心地良いけれども、しかし、それは病気のように身体を蝕(むしば)んでいく・・・という意味です。

 

 

「言葉は諸刃(もろば)の剣(つるぎ)」

 

という諺もあります。キリスト教の新約聖書にもある言葉。

人の口(舌)は、きれいなもの・・・神を ”讃(たた)える” 言葉も出てくれば、汚いもの・・・人を罵(ののし)り、貶(おとし)め、傷つける ”汚い言葉” も出てくる特殊なところ。

言葉は、人を生かし癒(いや)す道具にもなれば、人を殺し傷付ける道具にもなる。そして、それは自分の身にも、跳ね返ってくる。

だから、「使い方には、気を付けなさい」 という意味です。

 

刃物は肉を切りますが、言葉は人の心を切ります。

 

 

「言葉責め」 などと言うと、何か ”軟弱” な響きがあるように受け取る方もいるかも知れません。しかし、例えば、スパイに対する拷問や尋問、二重スパイへの懐柔。そして、ヤクザやチンピラの ”脅し文句” の類(たぐい)もそう。

これらの最後は、全て ”言葉” で締め括るもの。”鶏の水炊き” のあとの〆。雑炊のようなものです。そこできちんと〆られるかどうかがポイント。

 

言葉が通じる相手にしか ”効力” はありませんが、最終的に、相手の心に揺さぶりをかけれるのは全て ”言葉” なのです。

なので、言葉が通じない相手はマジで厄介。”力(ちから)” が関与する世界では、実力行使や抗争に突入しちゃうわけです。

 

ですので、言葉の威力は絶大。

 

 

”暴力” で引っ叩(ぱた)かれて出来た ”傷” は、くっつきますし、時間が経てば、その傷の色も褪(あ)せます。一番長引くのは、むしろ、それによって受けた ”心の傷” の方でしょう。

しかし厄介なのは、”心の傷” は、暴力によらず ”言葉” だけでも、相手に傷を負わせることが出来る点です。

 

夫婦仲が険悪な家庭では、言葉による応報は日常茶飯事(にちじょうさはんじ)です。

暴力を振るう夫に対しては、鋭い ”言葉” で対抗している主婦の方も少なくないかも知れません。

暴力はいかん。それは 100% 正しい。

しかし、心の傷のレベルでは、もしかしたら相手も ”ボロボロ” になるほど傷付いてるのかも知れないし、もしかしたら、あなた自身、言葉で相手を挑発しているかも知れない。

 

言葉だから、何を言ってもいい・・・とは思わないようにして下さい。

 

「言論の自由」 の意味を理解していない人も大勢います。「言論の自由」 とは、「言葉でならば、誰に何を言っても構わない」 という意味ではありません。

「言論の自由」 の対極には、そのような批評や批判を弾圧し、封じ込めようとする 「国家権力」 その他の既得権者を意識した上での、”自由に発言する権利” を言っているのです。

 

お互いに極限まで疲弊し、もしくは疲弊させたいのであれば別ですが、それは、そのまま ”家庭の崩壊” を意味します。

そのような家庭は、まず、冷静にお互いの話し合いができる環境づくり。そして、「言いたいことを言う」 場合にも、お互いの思いやりを醸成することが重要です。

 

「口喧嘩」 が耐えない ”仲の悪い夫婦” にお薦めなのは、プロレス風の ”マイクパフォーマンス”。笑

”プロレス” では一時期流行りましたが、そもそも、プロレスは ”ショー” 的な要素満載。観客に訴えるという ”他人の視線” を意識した会話のリズムを、二人の会話に導入することをお勧めします。笑

このマイクパフォーマンスの ”味噌” は、一方の話す時間に一定の時間制限を設けることと、もうひとつは、片方が話をしているときは、もう一方は聞き役に徹すると言うことです。

 

やる場合は、二人で 防音設備の整った ”カラオケ” にでも行って、自分のお気に入りの曲を 「リングへの入場曲」 にして、マイクは二人で ”1本” で。(笑)

 

でも、目的はその ”滑稽(こっけい)さ” を自分達で認識して、「楽しい時間」 を共有するためです。

なので、本気でマイクを壊して、お店から損害分を賠償請求されたからと言って、こちらに請求を廻すのは辞めて下さい。笑

あと、マイクのコードで女房(もしくは旦那)の首を締めるのは ”反則” ですので、絶対に辞めて下さい。正直笑えませんで。苦笑

 

SM の ”言葉責め” については、次回のコラムにて、いろいろ説明したいと思います。

 

(つづく)

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