2ntブログ
2016/03/26

麻縄のなめし

 

麻縄は、自作するにも手間が掛かるのと、「縄屋」 みたいな既製品は、かなりお値段が張るので、自分が 「緊縛」 で使っているのは、もっぱら、刺繍店なんかで売っている綿ロープ。

しかし、今日は朝から、家族が留守だったので、久々に麻縄をなめしてみました。

 

自作はもう何十年ぶり。

 

しかし 「自作」 と言っても、知り合いを通して同好の人が集まって、みんなで集まって作ってたりしてた時代です。

自分らの時代、そういう情報は全て、三和出版かなんかの SM 雑誌。

あとは、知り合いの伝(つて)みたいな感じでした。

 

しかし、そういう書籍の類(たぐい)も、結婚する時に全て処分してしまったので、断片的な記憶は残っているものの、それ以降は、手も足も出なかった・・・というのが正直なところです。

 

 

最近は、ネットなどにも、「麻縄のなめし方」 みたいな記事が載っているようで、自分も最初は、「便利な時代になったもんだ・・・」 などと眺(なが)めていただけなのですが、読み進めていくうちに、どうも違和感を感じる。(苦笑)

 

自分が一番最初に教わったのは、某和食店の親方でした。

和食の世界には、結構 「縛り」 の好きな人が多い。(笑)

しかし、そのときに、「縄のなめし」 をお手伝いしながら 「教わった内容」 とは、なんか全然違う。

 

自分の空白の時間が長かったのか?

まあ、細かいことは解かりませんが、その辺の記憶が完全に失われてしまわないうちに 「文字」 にしておくことにします。

 

ちなみに、使用するのは、ジュート(黄麻)の麻縄。園芸用として一般に売られているものです。

 

 

煮なめし

 

まず、麻縄をお湯で煮て、タールみたいな石油成分を落す作業。これは確かにやりました。

でも、ネットにあるように、30分も1時間も煮ません。なんか、酷い人ともなると、圧力鍋なんかで縄を煮てる記事なんかもありましたが、全く以って意味不明。

皆さん、まるで豚骨でもカチ割って、ラーメンスープでも作ってるみたい。ある人などは、お玉で灰汁(あく)をすくう感じで、ゴミ取りとかしてます。おいおいっ、違うだろ?(笑)

クリアに澄んだスープ(清湯)を作るなら、確かに煮立たせないように火加減を調整して煮込みます。

でも、そもそも 出汁(だし)を取りたくて、縄を煮ているわけじゃありません。(苦笑)

 

自分が教わったのは、沸き立ったお湯に両端を結んだ麻縄をぶちこんで、棒ッ切れでしごく。

要は、洗濯で言う 「揉(も)み洗い」 です。

毛糸などの繊維に染み込んだ汚れを取り除くのに揉(も)む。お湯を繊維の奥まで通して、タール成分を揮発させるだけです。麻の繊維に付着してる汚れも、ここで取り除きます。

米研ぎではありませんが、だらだらやってると、汚れた水が逆に繊維に染み込んでしまう。

当然、繊維を痛めないように、棒を動かします。

動かしてると、あっと言う間に、水が褐色になってくるので、お湯を捨てて、そこにまたお湯を加えて。これを何回か繰り返すだけ。

 

確かに、あの石油臭さはクセモノですが、「煮なめし」 と言う以上は、柔らかさの調整がメインです。あとは 「殺菌」 と言ってる人も多いのですが、カビ菌は死滅するでしょうけど、納豆菌は、100 ℃では死滅しません。

 

絞り (脱水)

 

煮なめしした縄を絞るのに、今度は皆さん、これを洗濯機の脱水機にかけています。

ホルモン屋なんかでも、腸の掃除には、洗濯機を多用したりしますんで、まあ、家業として、お家で緊縛用の麻縄を製造販売している方であれば、それも有りです。

でも、たかが数本の麻縄に洗濯機は、ちょっと疑問を感じます。

 

自分が教わったのは、新聞紙にくるんで、ねじるように絞っておわり。

石油製品の石油臭さには、新聞紙はとても、相性が良いんです。洗濯機の脱水槽を使って脱水するにしても、新聞紙で煮た麻縄をくるんで、それを脱水しても、良いかと思われます。

そうすると、新聞紙のインクに、石油成分が馴染みやすいせいか、新聞紙に石油成分を吸着できます。

 

油馴らし

 

麻縄を煮て、絞った状態だと、麻縄はかなり毛羽立ってます。縄目も緩(ゆる)くなっているので、熱いうちに油を馴染ませます。

自分が教わったとき、作業は確か、和食店の厨房の裏手だったと思います。

なので、油は 「白さめ油」 でも使うのかって聞いたら、これは食べ物じゃなくて、人様の肌に触れるもんだから、そういう油をつかうんでぃ・・・みたいな会話をしたのを覚えてます。

なので、そんときに使ったのは、確か 「椿油(つばきあぶら)」 だったと思います。

最近のこういった記事を読むと、「馬油(ばーゆ)」 だとか 「蜜蝋(みつろう)」 だとか。

表面の処理ならまだしも、固形の油を使って、内部に浸透するんでしょうか?

まるで女性が信奉する 「コラーゲン伝説」 と同じ。はなはだ疑問です。(苦笑)

[補足] 「麻縄なめし講座&雑学(一幸商会)」 にある ”オイルを霧吹きか何かで吹きかける” というのは、中々良いやり方だと思います。

 

そのときに立会いで教わったのは、ここまで。そのまま縄を干して帰ったか、休日の店舗内で軽い宴会になったのかは、もう記憶は定かではありません。

あとは、毛羽焼きをした記憶もあります。

 

毛羽焼き

 

ネットなどを見ると、皆さんカセットコンロなどを用いてやっているようです。まあ、自分が教わった頃は、まだカセットコンロがなかったか出始めの時代。毛羽焼きは、確か、縄を乾かすために外に吊るしていて、そこに火をつけたように記憶しています。

新聞紙を丸めて、そこに火を付けて、吊るした縄の下のほうの部分の毛羽に近づける。そうすると、火が毛羽に燃え移って、燃え移った火がまた、別の毛羽に燃え移る。

そんな感じで、縄の下から、縄を吊るしてる上の方まで、火が 「ぱ~っ」 と走ります。

そこで、歓声が湧いたのを記憶しています。

 

昔教わった記憶があるのは以上。

 

これ以外に 「麻縄作り」 のプロセスには、次のようなものがあります。一応、覚書程度に書いておきます。

 

擦(す)りなめし

 

ネットによると、軍手に油をつけて、キュッキュッとなめす以外にも、カラピナみたいなのを通したり、あるいは、木の棒の角を利用してこすってなめす・・・なんて方法もあるようです。

ここの部分は、教わったのかも知れませんが、完全に忘れてしまっているようです。

後者は、縄は締まるのかも知れませんが、縄の毛羽が立って縄が痩せるのと、後は、兎に角泣きたくなるほどに毛羽が出ます。

 

ゴミ取り

 

麻縄には、麻の外皮のような黒い繊維とか、あとはたまに藁(わら)のような硬い繊維が巻き込まれている場合があります。縄の縒(よ)りを緩(ゆる)めて、これを取り除きます。

自分の場合、最初に麻縄を煮る前に、おおまかに取って置きますが、あとは煮た後に、繊維が弛(ゆる)むので、このときに奥に巻き込まれていて、浮き出ているようなものを取り除いています。

 

染め

 

まだ一度もやったことがありません。素朴で金色に輝く麻縄も好きですし、油が染みて銀色の光沢のある麻縄も好きですが、一度は ”染め” もやってみたいと思っています。

ユザワヤなんかには、綿や麻にも使える染料があるところまでは確認していますが、染料以外にも定着液とかいろいろあるのと、染色液に染色するする際にも過熱が必要らしく、実現は当分先になりそう。

日本の伝統的な染物なんかは、染色したものを川で、川の水に晒(さら)して、色落ちしないようにしたものですが、今では環境問題なんかで、そういうのは禁止されているのでしょうか?

 

 

写真家などが撮った 「緊縛写真」 を見ると、やはり、麻縄独特の光沢は ”深み” があっていいな~と純粋に思います。

しかし、自分自身 ”縛り” は好きではありますが、「麻縄使い」 ではありませんので、出来た縄の 「腰がどうのこうの」 とか、「鳴(な)りがどうのこうの」 みたいのは正直解かりません。

 

道具に凝るのは構いません。

しかし、緊縛の世界だけでなく、楽器にしても、ゴルフにしても、車にしても、サーフボードにしてもそうなのですが、良いものは確かに良い。だけど、道具の薀蓄(うんちく)はもうどうでもいいよ・・・というのも正直な気持ちです。

初心者や下手な人に限って、道具の薀蓄話が五月蠅(うるさ)いもの。

まともに板の上にも立てない連中の、道具の薀蓄話には、なんの説得力もないし、疲れるだけ。(~_~;)

 

自分が昔、教わったことを思い出して、書いてみました。

「麻縄作り」 にはまってる方の、ちょっとした 「参考」 にでもなれば、幸いです。

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