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2018/05/10

【緊縛小説】 縄絡み (10-3)

§10の3 恋愛講座(2)

 

ママが何回も、口を酸っぱくして言っていたのは、

単に責めたい願望があるから、Sでもないし、

きれいに縛れるからと言って、Sでもない、と言うこと。

また、病理的なサ☆ディストであろうが、

社会に適合出来ない者には、「責める機会」

すら、与えられない、みたいなことだった。

 

まるで、今の自分のようだ。

 

大事なのは、お店と客にしても、人と人にしても、

信頼があって、初めて成り立つ関係だと言うこと。

 

なので、昔勤めていたお店では、

あいさつを含め、

とても礼儀が、重んじられて、いたらしい。

 

Mは、身も心も S に委ねることで、

そして、それに加えて、絶対者としての Sが、

責めを加えることによって、

普段、心の奥に封じ込められたものが

吐き出せるのだと言う。

 

そもそも、信頼関係すら、

成り立っていない状況下では、

単に怖いだけだ。

 

女性にしても、好きな人に

お尻を触られるのは、好きだけど、

キライな人に触られると、

当たり前だけど、ムカつくと言っていた。

 

Mの女性の中には、

 

痴☆漢やレ☆イプ願望などがある人も、

いたりするけれど、それにしても、

「好きな人」 にされたいのであって、

誰でもいいわけでは、ないと言う。

 

それと同じで、

 

Sとか、Mという性癖にしても、

特定の人に対して、出るものであって、

誰しも構わず、出るものではないのだそうだ。

 

友達同士の関係から、一歩踏み込んで、

恋愛関係になったから、と言って、

出るものではない。

 

その先にあるもの。

 

だからこそ、自分の感性を磨いて、

相手の持つM性を、

感じ取ることの出来る能力と、

きちんと相手に、

信頼と安心感を与えられるだけの、

器が、求められるのだと言う。

 

SMも、恋愛も同じだ、と言っていた。

 

女性が求めているものは、

 

一緒にいる女性に、気を遣ってあげたり、
一緒にいる女性を、見守ってあげたり、

いたわってあげたり、あるいは、

女性が楽しいことを、一緒に喜んであげたり、

心を通わせること。

 

友達同士の、其れではなく、

愛されている感覚。

 

ちょうど、お父さんが、自分の懐に、

愛娘を受け容れて、

守ってあげるような感覚、

其れなくしては、

女性は、安心出来ないのだ、と言う。

 

   「この上久保ちゃんも、

    人当たりは良いし、

    ガツガツしていないから、

    なかなか、隅に置けないのよ?」

 

と言うと、ママは、上久保ちゃんの方を

振り返る。

 

いきなり突っ込まれた、上久保ちゃんは、

また、自分のおでこをペシンと叩くと、

 

   「こりゃ、まいった」

 

と言って、一人、大笑いした。

 

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