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2018/04/26

【緊縛小説】 縄絡み (5-1)

§5の1 薄汚いアパート


若手の後に付いて行くと、

 

通りから奥まったところにある、

一軒の薄汚いアパートの一階の、

一番奥の部屋に入った。

 

部屋の入口の前には、

通路を隔てて直ぐに、倉庫の壁があり、

如何にも、日当りの悪そうな、部屋だった。


   「汚いけど、勘弁ね・・・」

 

部屋の中に入ると、

工事現場で見掛けるような、

金属のパイプが張られていて、

洗濯物が、掛けれられいる以外は、
汚くも、散らかってもいない。

玄関を入ると直ぐ、

キッチンで、風呂とトイレがあり、
奥に、狭い6畳間が一間あるだけの、

一般的な造りのアパートだ。

家には、電話もなかった。
考えてみれば、一人住まいで、

普段は、仕事に出ているわけである。
電話が掛かってきても、

電話を取る人は、
家には居ないわけである。

自分に電話をくれたのも、

外の公衆電話からだったそうだ。

   「ほらっ」

そういうと、若手は自分に、
いくつかの 「SM本」 を、

投げて寄越した。

   「ちょっと出掛けてくるから、
    すぐ戻るんで、それでも見てて、
    待ってて・・・」


そう言うと、若手は、出掛けて行った。

 

***


しばらくすると、若手は、

何処かで、買出しでもしてきたのか、
たくさんのレジ袋を手に提げて、

部屋に戻ってきた。

そして、その後ろには、

一人、自分と同じ年くらいの、
若い女の子を、連れていた。

女の子は、若手と一緒に

部屋に上がると、

レジ袋を開けては、
冷蔵庫に仕舞ったり、

片付けをし始めた。

着ているものは、

まるで、風呂上りのような、
Tシャツに、ショートパンツだけの、

ラフな井出達だった。

 

しゃがんだときの、

ムチムチとした太腿が、

なんか、とても、いやらしい。

 

青白い太腿に、

まだ薄っすらと、

毛並みの良さそうな、

体毛の筋を感じさせるところが、
実に色っぽい。

   「こいつは、俺の愛奴・・・」
   「だよな?」

   「は、はいっ・・・
    富永(仮名)サマの性奴隷の、沙織(仮名)と申します・・・」

 

そういうと、女の子は、

わざわざ、こちらの正面に、身体を向け、

両手をつくと、深々と自分にお辞儀をした。


   「はじめまして、緒尾(仮名)です。よろしくお願いします・・・」

 

部屋の中は、

若手が支配する空間だった。

 

意図せぬ、女の子の登場で、

また別の ”気まずい” 緊張感が、

部屋の中を覆った。

 

―――――――――――――――――

 

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