2ntブログ
2018/04/22

【緊縛小説】 縄絡み (2-1)

§2の1 訪問する


次の週の土曜日。

友人でもない、年上の人のお宅に、お邪魔するので、

迷った挙句、手土産に、折り箱に入った、

安いナボナを、買って行くことにした。

職人の家は、自分の家からは、

さほど、遠くもなかったのだが、

あまり行き付けのない、場所にあったので、

一度、最寄りの駅まで、バイクで行き、

そこから、徒歩で向かうことにした。

駅から、教わった通り、街道に沿って歩き、

三つ目の信号を、左に曲がって、しばらく歩くと、

言われた通り、ブロック塀に囲まれた、

古い平屋の、一軒家があった。

予定の時間より、まだ、早かったが、

その場所は、住宅街で、

時間を潰せるような場所は、何処にもないので

表札を確認し、呼び鈴を押すと、

しばらくして、玄関から、職人が出てきた。

   「おうっ、早かったな・・・
    良く来たな。まあ、上がって・・・」

   「すみません。お邪魔します・・・」

居間に通されて、しばらく、待っていると、

職人が居間に入ってきた。

子供は居らず、奥さんと二人暮らし。

奥さんは、お昼から出掛けている、

と職人は言った。

早速、コレクションを見るか?

ということになり、

 

職人が、押入れから、ダンボール箱を、持ってくると、

そこには、丁寧に、レタリングシールで、

タイトルが入れられた、ビデオカセットテープが、

ぎっしりと、入れられていた。

 

職人が、自分で、ダビングしているのか、

それとも、誰かにダビングを、頼んでいたのかは、

聞かなかったが、


当時は、まだ、ビデオデッキも高価であり、

テレビ番組の録画用に、ビデオテープレコーダーを、

買う家庭はあっても、1台だけでは、テープを、

ダビング(複製)することは、出来ない。

 

テープを、ダビングするためには、

最低、2台必要で、

誰かから、ビデオデッキも借りる、必要があった。


職人は、洋モノから、和モノまで、幅広く、

「裏ビデオ」 を、集めているらしく、

タイトルは忘れたが、

「まずは、これを見てみろ」 と、

洋モノの中で、薦められたのが、

この、「トレーシーローズ」 の出ている、作品だった。



初めて見た、ノーカットの、

「裏ビデオ」 は、衝撃的なものだった。

 

当時は、まだ、「モザイク」 を施した、

ビデオすら、存在しない時代。

映画では、その部分が薄く、

ぼやかされていた、時代だ。

 

字幕も、吹き替えもないので、

何を言っているかは、分からないし、

細かいストーリーは分からないが、

男も女も、「モロ出し」 で、

組んず解れつの状態なので、

その興奮だけは、伝わる。

 

興奮するなっ、と言う方が、

無理と言うもの。

 

一人で見ていたら、思わず、自分で、

いじりたくなる衝動に、駆られたとしても、

不思議でも、何でもない。

 

食い入るように、画面を眺めていると、

玄関の開く音がして、

「ただいま~」 という声がすると、すぐ、

 

職人の奥さんが部屋に入ってきた。

 

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