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2018/04/22

【緊縛小説】 縄絡み (1-5)

§1の5 電話を掛ける

 

トゥルルルル・・・、トゥルルルル・・・   カチャッ

 

   「はいっ、柴崎(仮名)で、ございます・・・」

 

電話に出たのは、職人ではなく、

声に、深い響きと、艶のある、女性だった。

 

   「すみません、親方、いらっしゃいますか?」

 

   「どちらさまですか?」

 

   「アルバイトでお世話になっている、緒尾と申します。」

 

   「少々、お待ち下さい・・・、(アナターー、バイトさん!)」

 

しばらくして、電話が変わる。

 

   「おうっ、あの学生だな・・・

   仕事、探してるのか?」

 

   「例のビデオの件で、お電話しました。」

 

   「そうか、相談ごとか。それは面倒だな。

    それなら、部屋を移るから、ちょっと待ってな・・・」

 

まだ、ワイヤレスとか、親機子機といった電話機がない時代だった。

 

ガサゴソと、職人が、電話機ごと、部屋を移動する音がする。

男の話に、四方山話(よもやまばなし)はない。会話は、用件のみ。

 

しかし、職人のことを、勝手に 「男やもめ」 と、決め付けていただけに、

女性が電話に出るとは、思いも寄らなかった。

 

結局、話は、一回の電話では、纏まらず、

何回か、連絡を取り合い、

翌週の土曜日の夕方に、お邪魔することになった。

 

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