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2018/04/12

【緊縛小説】 縄始め 6-3

§6の3 無欲と無力と無気力と


 


結局、最後の入試が終わるまでは、


彼女の家は、出入禁止。


合格したときの、お祝いの旅行は、


最後の入試の合格発表以降、


ということになった。


 


もう、その時期の記憶は、


抜け殻も同然の自分には、


何も残っていない。


 


無欲というよりは、無力。


 


孤独感と空しさで、満たされた自分にとっては、


クリスマスソングも、街頭で売っている、


クリスマスケーキの販売も、みんな他人ごと。


 


入試も、機械的にこなしただけ。


入試の前には、試験会場の下見に行き、


試験前日は、ぐっすり寝て、


試験日には、早めに会場に行き、


そして、坦々と試験をこなすだけ。


 


緊張すら、全く感じない変わりに、


点数を取ろうとする意欲も、何もなかった。


 


機械的に、簡単で確実な、稼げる問題から、解いて行き、


そして、解けた問題と、解けなかった問題をチェックし、


周りを見回して、女の子が居たら、チェックを入れたりも、したけど、


所詮、理系なんで、女子はそんなに多くない。


 


結局は、やることもなくなり、


煙草を吸いたくて、いつも早めに答案を出しては、


外に出て、彼女のことを思い出しては、煙草の煙を、燻らしていた。


 



 


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