【緊縛小説】 縄始め (1-4)
§1の4 ダージリン
カップをカチャカャ鳴らして、
自分の前のテーブルに、
紅茶を出してくれる。
「はいっ、温かいのをどうぞ」
「ありがとうございます。」
色白で、細身の手が目に入る。
きちんと、マニキュアもしている。
オトナの手だ。
「何処何処の息子さんね・・・」
「お母さんは、お幾つ?」
「どちらの高校?」
女性は、一緒のソファーには座らずに、
ダイニングテーブルに腰掛けている。
「彼女とかは、いるの?」
自分に話掛けるたびに、女性はせわしなく、
スカートから美しく伸びた、足を組み変えるので、
どうしても、目がそちらの方にいってしまう。
「いません・・・」
尋問されているみたいで、
紅茶の味すら、分からなかった。
目のやり場にも困って、
とても居づらかったと言うのが本音かも知れないが、、
そろそろ親が帰ってきてるかも知れないと伝え、
ご馳走さまをして、家に戻ると・・・
鍵が開いている。
慌てて家に入るや否や、自分の部屋に飛び込み、
先程借りた服を脱ぎ、自分の服に着替えた。
「ああっ、ごめん。鍵持っていってるかと思ってた。」
「すごい雨だったけど、大丈夫だった?」
「うんうん」
適当に返事を誤魔化して、校服をこっそり洗濯物に出した。
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