2ntブログ
2017/09/10

効果的な 「縄」 の使い方(2)

前回の 「効果的な 『縄』 の使い方」 では、「江戸四十八手」 のうち、縄あるいは紐を使用する体位を紹介しました。

 

緊縛は、そもそもは 「拘束」 を目的としていますが、SM の緊縛となると、股縄で股間を刺激したり、きつい姿勢で責め苦を味わわせたりする以外にも、「受け手」 を脱力させたり、切ない気持ちにさせたり等、「縄」 は、縛り方によって、「受け手」 に被虐だけではなく、従属・羞恥・降服といったさまざまな 「心理的効果」 を与えることができる不思議な道具です。

 

縄好きの方にはご説明は不要と思いますが、今回は、SM 緊縛による、「セ☆クス」 での 「縄」 の効果的な使い方について説明していきます。

 

ハーネス

 

「セ☆クス」 のときの、「縄」 の効果的な使い方のひとつに、「ハーネス」 としての利用があげられます。例えば通称 「バック」 と呼ばれる 「後背位」 で、女性の身体を支持する場合は、腰、あるいは、両手を後手にとるか、脇から手を逆手(さかて)に入れて、肩をホールドするくらいしかありませんが、胸縄を掛けたり、あるいは、縄を襷(たすき)掛けすることで、女性の身体を支持する 「ハーネス」 として使えるわけです。

 

(1) 女性の身体を支持する

 

手で女性の身体を支持する場合、持つ場所や、力の入れ具合によっては、赤く手や指の痕が残ってしまうことがありますが、縄の場合は、「縄ズレ」 などは多少あるものの、縄をホールドすることで、女性の身体に均等に力を分散させることができます。

 

また、騎乗位や対面座位などでは、女性の身体を支持する際の掴(つか)み処(どころ)として重宝します。

女性が 「Gスポット」 や 「ボルチオ」 に男性自身を当てようとするときは、後傾姿勢を取ろうとしますが、このときに、胸縄などに手を添えて、身体を支えてあげれば、女性はその分、自分がイクことに集中できますし、身体を起こしてあげる場合は、胸縄を引いて、寄せてあげるだけで良いのです。


(2) 女性の身体を動かす

 

そして何よりも一番の理由は、腕を使って力強く、女性の身体を引き寄せられることです。

先ほどの 「後背位」 の例では、腰を掴(つか)んだり、両手を後手にとる方法も書きましたが、引き寄せにおいては、腰を掴む場合は勢いに欠けますし、両手を勢い良く引っ張るのは脱臼(だっきゅう)や捻挫(ねんざ)などの危険があります。

 

胸縄あるいは襷に打った縄を掴んでの引き寄せは、女性を上半身から動かしますので、勢いも増すので、それだけ子宮に響く 「子宮の揺れ」 は大きくなります。

男性的には、腕で引っ張るだけなので実に楽。そして女性にとっては、自分の意思に反して、強制的に、自分の身体がコントロールされている…そんな被虐的なインパクトがあるわけです。

 

(3) 女性をリードする

 

セックスにおける男性の役割は、自分が気持ち良くなる以前に、女性を十分に、気持ち良くしてあげることであり、女性が無我となり、イクのをサポートしてあげることです。

 

緊縛の 「縄」 は、女性の身体を縛って 「拘束」 し、身体の自由を奪うことで、心理的には、太古より女性の遺伝子の中に眠る 「被支配意識」 を目醒(めざ)めさせます。しかし、それは、男性が身勝手な性欲を吐くのが目的ではなく、我侭(わがまま)で、怖がりで、そして、心配性である女性の 「エゴ」 を打ち破り、無我の境地にし、「オーガズム」 に導くためであり、そして女性が、イクのに集中できるように、その縄を使って女性の身体を支え、そして、その縄を使って女性の動き自体を、手綱(たづな)のように操(あやつ)るのです。


「縄」 は、「セ☆クス」 の際に女性が纏(まと)う 「ハーネス」 であり、女性がイクのサポートするための手綱なのです。

 

 

コスチューム

 

「縄」 は、「セ☆クス」 のときの 「コスチューム」 としての効果もあります。

また、縛られることに対して、恐怖や不安を感じているような女性に対しては、敢(あ)えて、「亀甲縛り」 や 「菱縄縛り」 など、手足を拘束しない縛りや、「飾り縄」 を施(ほどこ)したりする場合もあります。

そして、その自分の縛られた姿を 「受け手」 に見せ付けることで、「非日常」 にある 「美」 のような、全く違ったインパクトを女性に与えることが出来ます。

鏡を通して、縛られた 「美しい自分」 を客観的に見せることで、女性は、「縛られる」 という恐怖を乗り越えて、ありのままの自分を受け入れ、そして、貴重な時間として 「非日常」 を受け入れるようになります。

 

「縄」 は、巻き付ければ、「コルセット」 を締めたときのような ”緊張感” を生みますし、「縄」 で支持することで、”ブラ” のような役割を持たせることも出来ます。

 

実際 「縛り手」 は常に、「受け手」 に合わせて、「受け手」 がキレイに見えるような、「受け手」 が映(は)える 「縛り」 を意識しています。


洋風のボンデージ的な SM が好きな人であるなら、「ボンデージ衣装」 のようなもの。「首輪」 や 「手枷(てかせ)」 「足枷(あしかせ)」、あるいは 「手錠」 のような 「責め具」 でも構わないのですが、「日常」 から 「非日常」 の世界に入り込むための一種の 「チケット」 のようなもの。

 

「エロ」 は本来美しいものです。そもそも、「今」 を一生懸命に生きている人が、美しくないはずがありません。

 

 

タブー

 

「縄」 の効果の最後は、ずばり 「タブー」 です。「縄」 は、江戸の時代より 「拘束具(こうそくぐ)」 でもありました。「捕縛術(ほばくじゅつ)」 は、正確には 「捕縄術(ほじょうじゅつ)」 と言いますが、今で言う 「逮捕術」 です。時代劇などで、「お縄を頂戴(ちょうだい)する」 とは、「逮捕」 されることを意味します。
しかし、「縄」 は、良い人間ばかりが使うとは限りません。
今の時代も 「治安」 が良いと言えるかどうかは別にして、江戸時代などは、暗闇で襲われたり、火付盗賊など百鬼夜行の時代。悪人が 「縄」 で人を拘束する場合も当然、あり得るわけです。

「縄」 で縛られるというのは、当時の 「入れ墨」 と同じで、「タブー」 の世界であり、また、理不尽(りふじん)なことをされても、逆(さか)らえない世界なのです。
「縄」 には、「神聖」 な側面もありますが、「緊縛」 は、そもそもは 「タブー」 の世界であり、特に 「性」 や 「エクスタシー」 の絡む 「緊縛」 は、本来であれば、「被虐感」 や 「背徳感」 が漂(ただよ)う世界なわけです。

 

現代の SM シーンにおいて、そんな情景を描いてプレイするひとは、皆無かも知れません。

しかし、伊藤晴雨の絵や江戸時代の浮世絵師の春画にもありますが、人の自由を侵すような理不尽な性行為に対して、おぞましい 「現実的な恐怖」 を感じる一方で、人が動物的な本能として持つ 「生存欲求」 を持つ 「不条理感」 が、人の心にあるのも確かです。

 

そして、そういう 「背徳感」 があるからこそ、人が現実に向き合って 「本能」 に立ち返って、「情欲」 を完全燃焼できるのかも知れません。

 

コメント

非公開コメント