そもそも、セックスレスと不倫って何か相関関係的なものは、あるんでしょうか?
セックスレスで不倫している人もいれば、セックスレスでないにもかかわらず不倫している人もいます。
先に自論を言ってしまうと、
最近は、日本で急速に進む 「少子化」 に絡めて、何かと日本人の 「セックスレスの増加」 が社会問題として取り上げられますが、しかし、「セックスレス」 という用語自体、セックスの 「質」 ではなく、セックスの回数しか見ていない、無機的な社会的指標に過ぎません。
経済で言えば、「日経インデックス」 みたいなもの。
好きな人と、身も心もとろけるくらい求め合うセックスも、1回は1回。
気持ち良くはないけど、半ば義務的に付き合ってるセックスも、1回は1回。
一方的に、入れられたと思ったら、すぐ出されて終わりの 「生物学的生殖」 も、1回は1回です。
一方の 「不倫」 は・・・と言うと、セックスも関わりはなくはないけれども、求めているものは、心の満足感や安心感、それから充足感といった 「質」 です。
ですので、セックスレスと不倫は、何らかの因果関係はあるとは思いますが、社会的には、「風が吹くと桶屋が儲かる」 みたいな性格のもの。
このため、何らかの相関関係があって、「セックスレスが改善されたから、不倫が減る」 とか、そういう短絡的な関係ではない、と観ています。
セックスレスに関わる要因
セックスレスになる要因は、いろいろあると思います。
既に結婚や交際が破綻している場合もありますし、性的に機能しない場合もあるのかも知れませんが、それ以外にもいろいろあります。
自分の精神的な状態も大きく関係してると思います。自分のことで精一杯なとき。溺れかけているような状態のときは、精神的にも余裕がありませんから、多分アドレナリンは出まくり。
はっきり言ってそれどころではありません。
体調が優れないときには、なかなかその気になれないのは、誰しも一緒でしょう。
病気でどこかが痛かったりすれば、その程度にもよりますが、セックスにはなかなか集中できないでしょうし、慢性的な睡眠不足に陥(おちい)っているような場合は、とにかく寝たい。
肉体的な疲労は、適度な疲労であれば健全。性欲も高まりますが、慢性的な疲労で、疲れがどっぷりと溜まっているような場合は、やはり休息を優先したくなる。
家庭環境的には、子供がいたりすると、いろいろと割り込みが入りやすくなります。
乳幼児の場合は、どうしてもそちらが優先されてしまうでしょう。子供が大きくなって多感なお年頃ともなると、子供が寝静まるのをただひたすら待ち続ける家庭も少なくないかも知れません。
また、夫婦の諍(いさか)いが多いと、当然ですが、夫婦間の蟠(わだかま)りも多くなります。
女性は、ただでさえ、妻・母・嫁など役割も多く、その使い分けに振り回されて、女としての自分を見失いがちになりますし、夫婦間に蟠りがあったりすると、男と女の方の関係も 「ぎくしゃく」 してしまって当たり前です。
これに加えて、女性には 「生理」 の期間もあります。
こうやって、ちょっと考えてみただけでも、結構、いろいろなハードルがあるものです。(^^;)
常に機会を見計らっているというのも、大変なものです。
タイミングを見計らっているだけで、待ちくたびれてしまいますし、仕舞いにはどうでも良くなってきそうです。
それでも、他に何らかのスキンシップがあるならば、またそれがキッカケになるのかも知れませんが、そういったものがない場合、一度切れてしまうと、なかなか再生するキッカケをつかむのも難しいもの。
何かの記事で見かけたことがあるのですが、男性は、何回も女性にお伺いをたてるものの、毎回拒絶される。そうしてるうちに、だんだんと、プライドも傷つけられてきて、セックスレスになる場合もあるそうです。
体調が優れないなら、致し方ないところもあるとは思うのですが、自分中心に考えて、自分が絶好調のときだけ 「追いで」 みたいなことをして、調子にのっていると、いざ、自分が欲しいときに相手にしてもらえなくなる。
SM を愛好してる人間から言わせて貰えば、セックスを 「餌」 に使うのは構いませんが、「罰」 に使うのは良くありません。
結局は、結婚相手に対して思いやりがあるかどうか。大事なのはその辺です。
以前、幾つだったか、その方の年齢は忘れてしまいましたが、50代でしょうか、それとも、もう60代だったでしょうか。しかし、未だに夫婦間で仲も良く、普通に夜の営みもあるという方がいたので、話を聞いたのですが、このときに感じたのは、いっしょにお風呂に入る習慣があったこと。
単に毎回一緒に入るというだけの、何気ない習慣ではありますが、それが常にスキンシップを継続する要因に思えてなりませんでした。
相手に対する思いやりを忘れず、スキンシップのある生活習慣を築くこと。それがセックスレスに対する特効薬のような気がしてなりません。
セックスの質を考える
セックスは、単に性的欲求を満たす行為ではありません。
セックスは、性的欲求と同時に、心を満たす行為です。
セックスは、性的欲求と同時に、不足している何かを満たす行為です。
理屈ではない安心感。
それは、お互いが向かい合って、見つめ合い、求め合い・・・
そして、お互いがいたわり合うことで始めて生まれるものです。
男性が単に一方的に入れて出すだけの性交なんて、言ってしまえば、女性の肉体を借りた自慰のようなもの。
夫婦の価値感は多様ですので、押し付けるつもりはありませんが、しかし、生殖に必要最低限の行為なんていうのは、もはや 「セックス」 ではなく、動物のしているのと同じ、単なる 「生殖行為」。
性的な快感だけであれば、簡単に満足できます。
自慰は、謂(い)わば応急処置のようなもの。対症療法です。(笑)
しかし、それだけでは、満足出来なかったりします。心が虚(むな)しく感じたりする。
自慰だから、満足できず虚しく感じたりするのか?
そんなことはないでしょう。
女性であれば、セックスして、身体を重ねあっていても、心が寂しくなった経験のひとつやふたはある筈です。それは、「単なる肉体関係」 にある人だったかも知れませんし、あるいは、「カレシ」 や 「旦那さん」 だったかも知れない。
不倫をする女性も、その多くは、性的欲求もあると思いますが、それ以上に 「心」 であったり、「自分が不足に感じる何か」 を満たしたくて、外に出ているのではないでしょうか?
家庭では満たされないから、外に求める。
まあ、食事であれば、ごく当たり前、日常的なことです。
しかし、「旦那さん」 が求めているにもかかわらず、感情的なもつれ等の理由から、「夜の営み」 を断り、自ら 「セックスレス」 の状況を作っておいて、その一方で、自分は外で 「不倫」 を享受するなんていうのは、ちょっと考えてしまいます。
とは言うものの、強引かつ突然に、半ば無理矢理に求められる 「夜の営み」 が苦痛で苦痛で仕方がないと涙で訴える、そんな DV に近いケースもあったりします。
ですので、セックスレスであるかないか。
あるいは、月にセックスを何回しているか。
それ自体は、参考にはなるかも知れませんが、必ずしも 「幸せ」 のバロメータにはならないのではないか、と思ってます。
セックスレスと不倫の実態
では、現在、セックスレスと不倫の現状はどのようになっているのでしょうか?
セックスレスの実態
2011年の厚生労働省による調査によると、夫婦によるセックスが、1年以上ない夫婦は、40.8%。その内訳は、1年から10年が 22.7%、11年以上は14.3% です。
調査対象は、16 歳から 49歳ですので、未だにお盛んな自分が調査対象に含まれていないのは、なんとも釈然としませんが、女の花は 35歳から 55歳。そんな魅力あふれる世代のなんと、4割の夫婦が1年以上もセックスレス というのは、驚くべき数値であると言えます。
しかし、この数値は、あくまでも夫婦や自分のパートナーとのセックスです。
では、それ以外の人とはセックスしていないのでしょうか?
「性欲」 は、「人間の三大欲求」 のひとつ。これは、「第一次欲求」、あるいは、「生理的欲求」 とも呼ばれますが、人として生命を維持し、その種を保存していく上で必要とされる、最も基本的な欲求のひとつな訳です。
欲の皮が突っ張ってる連中の 「金銭欲」 や 「名誉欲」 みたいな 「薄汚い欲望」 とは違います。その証拠に、これらの 「欲求」 には限度があります。
際限なく欲しがる 「欲深さ」 とは異なる、「動物に本来備わっている欲求」 と言っても良いかも知れません。
不倫の実態
さすがに厚生労働省の調査では、その性欲の捌け口までは追跡調査していないようですが、2013年に 47都道府県の20歳から60歳までの男女延べ14,100人を対象に実施された相模ゴム工業株式会社による大規模な調査 「ニッポンのセックス」 によると、
結婚相手・交際相手がいる人で、それ以外の人とセックスがない人の割合は、男性で 73.1%、女性で 83.7%。このアンケートの設問によると、現時点での状況と思われますが、実に、21.3% の人が浮気中と回答しています。
実は、こういうアンケートは、その評価が大変難しいので、この数値をそのまま信用することは出来ません。何故ならば、セックスに関するアンケートに回答する時点で、セックスにポジティブな人達とネガティブな人達を選別してしまっている可能性があるためです。
ちなみに、この相模ゴムの調査によると、セックスレスであると認識しているのは、既婚者の 55.2% という結果になっています。設問においてセックスレスの定義が明確に規定されているか。その辺は微妙なのですが、日本性科学会の定義によると、セックスレスは、1ヶ月以上性交渉がない状態 のことを言うそうです。この定義に厚生労働省の調査を換算すると、セックスレスの割合は、49.8% になるということ。
この値からみると、多少の数値の乖離は見られますが、
- 夫婦やカップルの、5割はセックスレス(1ヶ月以上セックスをしていない)
- 夫婦やカップルの、2割(男性 26.9% 女性 16.3%)は現在浮気中
ということになります。
もっと興味深いのは、「セックスフレンド、浮気相手とは何処で知り合いましたか?」 という設問。オリジナルの集計結果を再編集していますが、こんな感じ。
同じ学校・同じ会社 | 31.7% (10.3 + 21.4) |
友人・友人の紹介 | 30.3% (13.9 + 16.4) |
クラブ・ディスコ・キャバクラ・合コン・飲み屋 | 14.3% |
風俗店 | 4.6% |
SNS・ソーシャルゲーム | 5.6% (4.4 + 1.2) |
出会い系サイト | 6.4 |
リアルな出会いによる不倫・浮気は、風俗店の利用を除くと、全体の 76.3% であるのに対して、出会い系を含めたネットによる出会いは、全体の 12.0% に過ぎないこと。出会い系を排除すれば、全体の 5.6% 程度に過ぎません。
世の中の不倫の大半は、今でもリアルな出会いが中心。
同じ会社・同じ学校・友人や友人の紹介で、全体の 62.0 % が占められているのです。
風俗店の利用は 4.6%、風営法の絡むお酒の世界で 14.3%。両方をあわせても 18.9 %に過ぎません。
この統計を見る限り、不倫や浮気相手とは SNS を通じて連絡を取り合ってるかも知れませんが、出会いはリアルが全体の 3/4 を占めており、ネットにおける出会いは 12.0% 。SNS やソーシャルゲームといった直接的な出会いを目的としていない範囲に限定すれば、たったの 5.6% に過ぎません。
SNS とかで知り合って、それがキッカケとなって不倫するようになった人達よりも、仕事上で知り合って不倫する人達の方が、4 倍も多い・・・ということになります。
まあ、実際の労働者人口と SNS などのサービスを積極的に使用している人の数を比べれば、その差は歴然としていますので、そんなものかも知れません。
しかし、セックスレスの家庭が 50% で、現在、不倫をしている人達は全体の 20%。
そして、そのうちの 3/4 はリアルな出会いで発生している・・・というのは、大変興味深い結果と言えます。
2015年9月の 「女性セブン」 で紹介された 「既婚者の女性300人 『不倫』 アンケート」 に基づき書かれている "まとめ記事" 「妻の浮気実態調査まとめ 【不倫相手・デート頻度・交際期間等】」 もなかなか参考になります。(笑)
この記事によると、
結婚後、夫以外(アイドルや芸能人を除く)に対して恋愛感情をもったことのある女性は、全体の 34.4%、そして、全体の 20% の人が、浮気や不倫を経験しているということ。
そして、その浮気相手(複数いる場合は、最近お付き合いした人)の内訳は、次のようになっています。
自分の職場 | 48.3 % |
夫の職場 | 1.7 % |
友人・知人の夫 | 5.0 % |
学生時代の友人・知人 | 5.0 % |
元カレ | 15.0 % |
子供絡みの関係者 | 0 % |
配達、工事 | 0 % |
出会い系 | 15.0 % |
その他 | 10.0% |
この調査の母数は 300人ですが、仕事関係が、50%、友人など交流のある人との絡みが 25%、SNS などのネット系は全て出会い系に回答が集約されているのかは不明ですが、それが 15% という結果になっています。
やはりここでもリアルな出会いが、全体の 75% を占めていて、ネットは 15.0% 程度に過ぎないというのは、面白い結果です。
ここで面白いのは、元カレが 15.0 %を占めるというところ。
もうひとつ面白いのが、現在浮気中の男女比です。男性は 26.9 %、女性は 16.3 % で、浮気をしている人自体は女性よりも男性の方が多い ことになります。しかし、この調査は、今までに浮気をしたことがある人を聞いているのではありません。現在しているかどうかです。
この調査では、都道府県、性差、世代で偏(かたよ)りが生じないように、男女同数で一定量の母数が確保できるようにスクリーニングされています(1都道府県 300名 性世代均等割付)
しかし、男性だけでは浮気できません。(笑)
これは、何を意味しているかというと、全体の 16.3% にあたる女性が、全体の 26.9 % にあたる男性を支えているという現実です。
つまり、浮気男の数は浮気女の数よりも絶対的に多いのですが、こなしている人数、経験した人数については、女性の方が多い ということ。
イギリスで、不倫経験のある男女 4000人を対象にしたアンケート調査によると、不倫相手の経験人数は、男性は平均で 1.8 人であるのに対して、女性の平均は、2.3人という結果が出ています。
The UK Adultery Survey 2012 - Female Cheaters More Promiscuous Than Men!
国民性の違いなどはあるかも知れませんが、同じ傾向が出ていることは大変興味深い。
自分は多頭飼いであることを自認し公言していますが、複数の男性に触手を伸ばしている女性も少なくない・・・というよりは、このデータからは、女性の方が男性よりも 「お盛ん」 であることを表しています。(笑)
しかし、こういう風に書くと、「やりまん女」 と女性を罵(ののし)りたがる 「僻(ひが)み男」 が喜んでしまいそうですが、自分のゴールが見えなくなっていて、とっかえひっかえしている女性も一部にはいるものの、そのような女性は、やはり統計的にみた場合は極少数ですので、統計値を底上げするほどのインパクトはありません。
では、何故女性の方が多いかと言えば、女性を最低限の満足すら与えることの出来ない男性が、一定数存在するからでしょう。
***
残念ながら、これらの統計値から、セックスレスであるから不倫が増えるということは説明できませんでした。
家庭では、セックスレスでないのにもかかわらず、不倫している人もいます。
面白いのは、相模ゴム工業の調査 「セックスが少ないと答えた方に対して、『もっとセックスをしたいと思いますか?』」 という設問です。
女性では、「思う」 と答えるのは、20代で、約6割(59.7%)ですが、40代になると4割弱(37.5%)に落ち込みます。
セックスが少ないと答えているにもかかわらず、もっとセックスをしたいとは思わない女性がコンスタントに増える一方で、男性は、40代をピークにそれ以降は若干衰えは見えるものの、7割から8割の男性は 「思う」 と回答しています。
この設問は、「非公式らしき他の資料」 を見ると、既婚者または交際相手がいると答えた 11,368人に聞いた 「あなたはご自身のセックスの回数をどう思いますか?」 という設問の回答を受けているようです。
ちなみに回答の選択肢は、多いと思う、まあ多いと思う、普通だと思う、少ないと思う、非常に少ないと思うの5段階評価。
要は、「正規のパートナー」 との性交回数と期待度を確認しているようです。
ちょっと面白いので、キャプチャー画像を添付しておきます。(笑)
既婚・交際相手がいる人の 約6割 が、セックスの回数を少ないと思っている。
既婚・交際相手がいる 11,368人のうち、セックスが少ないと感じている 6,703人に聞きました。もっとセックスをしたいと思いますか?
セックスの回数が少ないと思っている人の 約半数 がもっとしたいと思っている。
そのうち 男性の方が圧倒的 に 「もっとしたい」 と思っている。 ((((;゚Д゚)))))))
女性は30代からセックスをしたいと思わなくなる。 ????
このプロジェクトの会議には、女性社員は参加していなかったのでしょうか?(苦笑)
社員一同 「男根」 に被せることしか関心を持っていませんので、どうも皆さん 「男目線」 になってしまっているようです。
セックスをしたくない理由。男女間で微妙な差異はありますが、① 面倒くさい、② 性欲がない、③ 仕事や家事などが忙しく疲れている、というのが男女共圧倒的な理由になっています。
あとは、年代があがる毎に、④ 年齢的にもう良い、という回答が増加します。
しかし、この回答、女性に関して言えば、授乳期における性欲の消失を除けば、① ただ入れて出すだけのセックスは、全然気持ち良くもなんともないので 「面倒くさい」、② 旦那・パートナーにはときめきを感じない、③ 旦那・パートナーが家事を全然手伝ってくれないばかりか、家事の大変さを全然理解してくれないので、肉体的にも精神的にも忙しく疲れている・・・ということではないのでしょうか?
セックスが少ないと答えた 30代の女性では、52.5%、40代の女性では、62.5% がセックスをしたくないと答えています。
しかし、セックス自体もうしたくない、というわけではなくて、旦那やパートナーとは、セックスしたくない のです。(笑)
既に家庭生活が崩壊寸前であることを連想させる回答。結婚(交際)相手に愛がない(全く愛を感じないの意か?)という回答や、結婚(交際)相手とのセックスに飽きている(飽きるほどセックスしたの意?)と答えた人はいずれも 10%以下です。
既婚者においては、セックスレスが先か、不倫が先かは実に微妙なところです。
30代は、男性も女性も一番社会に家庭に翻弄される時期です。
日常の家庭生活のわだかまりなんかも出てくる頃でしょう。
「不倫」 だけを取り出して、叩いたところで、不倫を前提に結婚するひとなんか、そうそういるわけでもありません。
皆さんの結婚生活・恋愛の位置付けを確認して、今後の生活を、より豊かにするために、あるいは、自分の不倫の正当化は出来ないまでも、「自分だけじゃない」 ことを確認するために、統計を参考にしてみるのも面白いかと思います。