「くすぐり」とSM(6)
昨日の記事、「『くすぐり』 とSM (5)」 の続きです。
「『くすぐり』 とSM」 の記事で、現時点で確認されている、くすぐられたときの脳科学的な現象を整理し、「『くすぐり』 とSM(2)」 では、「くすぐり」 より派生する 「フェチズム」 や刑罰の存在について、「『くすぐり』 とSM(3)」 では、そもそもこの記事を書こうと思った動機付けについて。そして、「『くすぐり』 とSM(4)」 および 「『くすぐり』 とSM(5)」 では、「くすぐりフェチ」 の実態と実情について調べてみました。
最終的には、「『くすぐり』と SM(3)」 の動機付けのところにも書きましたが、「くすぐり」 という手段が、「くすぐりフェチ」 あるいは 「くすぐりマニア」 のような人以外にも使えるものであるか否か。
具体的には、触覚神経の感度を高めた状態、すなわち、触覚に神経が集中し、緊張している状態を維持したまま、身体をリラックスさせる手段として、この 「くすぐり」 を応用出来ないかということを考えています。
「くすぐり」 の効能
「くすぐり」 という行為を、気持ち良いと感じるか、不快と感じるかは、受け手の 「くすぐられフェチ」 度次第なわけですが、くすぐられた後に 「すっきり」 するのは、くすぐられる刺激から反射的に逃げようとする、神経や筋肉の極度な緊張状態からの解放感です。
前者は、体性感覚に対する内臓感覚の弛緩に繋がり、後者は体性感覚を含む筋肉の弛緩を促します。
身体をリラックスさせる方法のひとつに 「漸進(ぜんしん)的筋弛緩法(PMR: Progressive muscle relaxation)」 という方法がありますが、これは、リラックスさせる筋肉に力を入れ、5~10秒間、力を入れた状態を維持し、その後、15~20秒掛けて、ダラーっと脱力を意識しながら筋肉を弛緩させるのを繰り返すことで、不安やストレスなどにより無意識に身体に力が入っている身体の緊張をほぐす方法です。
くすぐると筋肉は強く緊張し、くすぐりが止まる度に筋肉の脱力が起こりますので、「くすぐり」 は半ば強制的に、この 「漸進(ぜんしん)的筋弛緩法」 が行われているようなものですから、身体のリラックス効果は十分期待できそうです。
一方で、「くすぐり」 後の触覚神経の興奮はしばらくは続くでしょうから、パートナーを 「オーガズム」 を迎え易い状態に持っていくのに、「くすぐり」 は適しているのです。
課題
問題は、「雰囲気」 の持って行き方。
緊張感、テンションの持って行き方です。
二人が 「くすぐりフェチ」 同士であれば、「くすぐり行為」 自体が 「性欲」 を刺激する 「エロ行為」 となりますので、雰囲気を切り替える必要もないのですが、「くすぐりフェチ度」 の低い人の場合はそうも行きません。
当然、人によって 「くすぐったがり度」 は異なりますが、「笑い声」 が漏れるのは、相手と親密で気持ちがリラックスしている証拠。
しかし、「セ/ックス」 の場合は、性的な緊張を高める行為ですから、心理的な緊張が求められるわけです。
「くすぐり」 の場合は、心理的にリラックスしているけど、肉体的には緊張している状態であるのに対して、「セ/ックス」 の場合は、心理的にも肉体的にも緊張している状態と言えます。
そして、心理的な緊張から肉体的な緊張に派生し、そしてどちらも限界まで緊張し、最後に心理的にも肉体的にも、いっぱいいっぱいになって機能停止に陥るのが、「オーガズム」 です。
そして、もうひとつの問題は、くすぐるときのタッチと、愛撫のタッチのメリハリの利かせ方。
相手の身体に触れるときの 「触れ方」 次第で、相手に対して異なるメッセージを送ってしまうわけですから、「手を置く行為」 と 「擦(さす)る行為」、「叩く行為」 そして 「くすぐる行為」 はきちんと明確に区別できるようにする必要がありそうです。
「手を置く行為」 は、其処に神経を集中させる意味があり、「擦る行為」 は、相手に安心する心地良い刺激を与え、「叩く行為」 は、相手を緊張させるのと同時に、強いインパクトのある刺激を与えます。
これは、SM に限らず、通常の 「セ/ックス」 においてもリードを取る上でとても大事なこと。
ここに新たに 「くすぐり」 を加えるとすると、「くすぐる行為」 は、ゾクゾクする刺激を与えたり、神経を高ぶらせる半面、心理的な緊張を緩めてしまう副作用がありますが、具体的にそれをどのように使ったら良いのか。
例えば、コンビネーションで使ったりしたときに、それによってどのような効果が生まれるのかが、まだ良くわかりません。
***
そのヒントは、もしかしたら、「『くすぐり』 とSM (2)」 のところで紹介した 刑罰としての 「くすぐり」 に、吉田町の夜鷹宿などで 「私刑」 として行われていたとされる、縛って鳥の羽でくすぐるという 「くすぐり責め」 に隠されているかも知れないとも思いましたが、当てがはずれました。
ちなみに、この吉田町は、本所吉田町 のことで、現在の墨田区石原四丁目あたり。
江戸時代末期、法恩寺橋の西の両側50m程の吉田町は、夜鷹の巣窟として有名だったそうです。
何故なら、この 「くすぐり責め」 は、少なくとも、このような夜鷹宿における 「私刑(リンチ)」 として行われた 「責め」 ですので、親しい同士の 「くすぐり合い」 のように 「和気あいあい」 としたものではなく、かなりの 「緊張感」 を伴ったものと推測されます。
少なくとも状況的には、くすぐられて、笑える状況にも、感じたり濡れる状況にもないわけです。
このような場合、触れているものが 「鳥の羽」 であることが分かっていても、「危険」 を表すシグナルが、そのまま恐怖感や不安が増幅されたのではないでしょうか。
ちょうど、誰が発しているか分からない 「アンドロステノン」 のニオイを嗅いで、「不快」 と感じるように、痴漢や自分の嫌いな人の手が、自分の身体を撫でるときに感じる、寒く身震いするような感覚に感じられるのかも知れません。
(つづく)
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