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2019/06/20

性の多様性の話

以前、「セックスレスの話(7)」 などの記事において、ニューヨーク の カリスマ 「カップル・セラピスト(セックス・セラピスト)」 である、「エスター・ペレル(Esther Perel)」 女史による TED での講演 「長期の恋愛関係において性を求める秘訣(The secret to desire in a long-term relationship)」 についてご紹介したことがあります。

 

見られる方は、再生後に右下の歯車マークをクリックし、字幕をオンにして字幕のメニューの中から日本語を選択して下さい。

 

 

彼女は、この講演の冒頭においても述べていますが、昨今の 「結婚」 には、以前に見られなかった兆候が見え隠れしているそうです。

 

個人主義の台頭

 

かつては、「結婚」 とは、「経済的な制度」 であり、生涯のパートナーを得ることで、子供を持つことにより、社会的地位における継続性を追求したり、仲間を獲得するため手段であったと説明しています。

これは家系あるいは事業における 「跡取り」 といった意味合いを言っているのでしょう。

日本にもありますが、家族や親族に新しいひとを迎え入れる感覚です。 

 

欧米においては日本よりも早い時期から多くの 「離婚」 が見られましたが、今や日本の離婚率も高く推移しており、「×の一つや二つは当たり前」 の時代に突入しています。

日本海外を問わず、複数の世代で同居する旧来のスタイルを採る家族もいるのでしょうが、都心などを中心に 「核家族化」 も進み、「結婚」 による結びつきは 「個人と個人」 という性格が強くなってきているのでしょう。

 

結婚すると、「主婦」 として家庭に収まる 「専業主婦」 のスタイルから、男女が共に社会で働くスタイルも定着してきていますが、これも女性の 「権利の回復」 といった社会的な動きの影響も小さくないでしょう。

少なくとも、ここ1世紀の推移を見ても、「結婚」 というものは、従来の 「経済的な制度」 という側面から、より男女の 「個人対個人」 的な性格が強くなってきている。

 

旧来であれば、「結婚」 して家族が経済的にひとつの所で暮らせれば、一応は満足出来たものが、今の時代は、相手に対して、経済的な安定性ばかりではなく、「良き友達」 であって欲しかったり、忠実かつ情熱的な恋人を求める。

自分は、昔であっても、女性が求めたものは同じであったと思いますが、やはり社会的風潮として、そのような意識が高まりつつあるということなのだと思います。

 

彼女曰く、「昔と比べると2倍も長生き」 になり、そして核家族化が進むことで、昔は 「村全体が与えてくれた」 もの。帰属感、身分、継続性やさらには超越性や神秘性、そして畏敬に至るまでを、結婚相手に求めるようになってきている。

そして、「安らぎ」 と 「焦り」、「新たなもの」 と 「慣れ親しんだもの」、「予測可能なもの」 と 「サプライズ」 などと言った背反するものまでを、結婚相手に求めるようになってきている。

 

これは日本だけという話ではなく、どうやら世界的な兆候であるということです。

 

そして、そういった環境の中で、性的な関心を長い間ずっと維持し続けようとする試みや、欲望に根差して喜びと繋がりを得るための 「セ/ックス」 を長期に渡って求めることは、「人類の歴史上初めての試み」 であると言っています。

 

人の生活と価値観の変化

 

全てのひとに当てはまることではないと思います。しかし、平均寿命は確実に伸びていますし、「美容技術」 の進歩や 「ED 治療薬」 などの発明も大きいでしょう。

社会が持つ 「セ/ックス」 に対する意識。「性欲」 に対する 「罪悪感」 や 「背徳感」 的なものも薄れて来ているのかも知れません。

 

徐々に 「個人主義」 的な考え方が浸透し、個人の 「幸せの追求」 的な考えが強く出て来ているのかも知れません。

産業や技術が発達し、一定レベルの生活水準を手に入れた人達も少なくないのかも知れませんが、やはりネット関連の技術が発達したことにより、情報の流れる経路や質が変化し、「価値観」 が大きく変わってきたのかも知れません。

 

「LGBT」 は今までは大変厳しい差別や弾圧にあって来ましたが、「性的なマイノリティ」 として基本的な人権は確立しるつつありますし、逆に欧米では 「徳」 の象徴とも言える 「教会」 の中で長いことセ/クハラ行為が行われていたことが暴露されるなど、クリスチャンの世界にも見られた数々の事件も関係しているのかも知れません。

 

現代においても 「性」 に保守的な人達は保守的だと思います。

しかし少なくとも今の時代は、そういったひとでも情報を求めさえすれば、容易に手に入る時代になってきているということです。

そして世界的にも、多くの人達が、自分が人並みに 「幸せになること」 や 「自分の趣向」 を考える時代になってきたということです。

 

「既婚者」 が 「不倫」 や 「浮気」 と聞き、何の根拠もなく 「罪悪感」 を感じるのも自由なら、日本において 「姦通罪」 というものは、女性に対してだけ適用された 「罪」 であり、また 「第二次世界大戦」 配線と同時に消えた過去のものであり、現代の法律に照らしあわせれば、パートナーさえ許すのであれば、「違法」 でも何でもないということ。

それを理解し、「性」 に奔放である自由もあるのです。

 

現代の日本の 「セ/ックス」 も旧態依然の 「男性の性/欲処理」 的な一方的な 「セ/ックス」 が残る一方で、「夫婦関係」 にあったとしても、相手の意思に背く形で行われる 「セ/ックス」 は、「レ/イプ」 であると言う考え方も、広がりつつあります。

 

現代にあっても、「性の喜び」 を何も味わったことがないまま、「奴隷的な性行為」 を半ば強制されている女性も居れば、SM の世界では 「奴隷」 という名のもと、「性の喜び」 を教わり、性を謳歌している女性も居ますし、家庭で得ることの出来ない 「性の喜び」 を、「婚外恋愛」 というカタチで満たしている男女も居たりするのです。

 

いずれの時代も、ひとが生きていく上で、「無知」 は 「リスク」 以外の何物でもありませんが、しかし現代は、自分で情報を探すことが容易になり、そして良くも悪くも 「価値観」 の多様化が進んでいるということ。

 

「安定性」 VS 「冒険性」

 

日本においても、「熟年離婚」 という言葉が定着して来ていますが、子供も大きくなり、今迄の家族あるいは子供を優先にしてきた生活から、少しは自分が喜ぶことや楽しむことにも目を向けようと 「自分の人生」 を切り替える中で、どうしても自分に依存してくるパートナーの存在、あるいは、モラハラ的な扱いに嫌気が指してきた人達の、ひとつの選択肢なのだと思っています。

 

エスター・ペレルの言葉を借りれば、「ときめきたい女性」 であり、そのためにまさしく 「安定性」 を捨てて、「冒険性」 を選択しているわけです。

「安定性」 にしがみつくひとも、それがその人の選択であるなら、それは自由ですし、「冒険性」 を選ぶひとも、それがそのひとの選択であるのであれば、それは自由です。

 

そして彼女がもうひとつ、示唆しているもの。

それは、パートナーひとりに多くを求めあっている現実を、どのように対処したら良いかということ。

 

多くの人が、世の中にには完璧な人はいないことを(頭では)理解しています。

なので、多くを求めて再婚したところで、またその生活は 「五十歩百歩」 になることも分かっているのです。

そして、まずそういう人は、離婚という選択はしないでしょう。

 

彼女の 「セックス・カウンセリング」 の真骨頂。

それは多分、その夫婦の不満と希望や願望、そして現実や現状を見て、お互いが受け容れ可能な、より良い解決策を探し提案することにあるのでしょう。

 

好きな相手との 「安定性」 を求めてしまうと、その好きな相手との 「冒険性」 が失われてしまうことで、「セ/ックスレス」 になるのだとしたら、「愛」 や 「安らぎ」 と、「セックス」 は対局にあるのだとしたら、どうしたら良いのか。

 

次回は、夫婦の一例を考えてみたいと思います。

 

(つづく)

 

―――

 

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