2ntブログ
2016/08/13

S は「指揮者」の S

ここんとこ、某 SNS 上で話してた内容です。

 

面白いのは、何故か、立て続けに 「同じ種類の話題」 が話題にのぼったりすること。

話題は、SM とは直接関係のない 「女性がイク話」 であったり、二段とか三段とかの多段イキ(多段オーガズム)の話だったり、あるいは、中イキの話だったりと、いろいろでしたが、そこにあるのは、女性がイクことの難しさ。イけない女性の多さについてです。

 

男性の射精と違い、女性のオーガズムは、多様です。

自分は女性ではないので、女性が感じているであろう快感を解かるわけでも、ありませんし、こうすれば、気持ち良くイけるようになるということを断言できるわけでもありませんが、女性を見ていて、言えることは、構造的な違いもそうですが、感じ方のバリエーションが多様であるということ。

タイプが似ているような場合は、それなりにありますが、性感の強さや優先順位は、みんな、違っていたりする。

 

オーガズム時の反応も人によってまちまちです。

身体をピクピクと痙攣(けいれん)させる女性も居れば、汗をびっしょり掻(か)いて跳(は)ねるような動作をする女性も居るし、もう、心拍数は高まり、ハアハアと 100m を全力疾走したかのような女性も居ます。

 

ですので、女性を気持ち良くさせる場合に重要なこと。それは、その女性のことを、しっかりと見つめてあげて、その女性固有のスイッチを探し、特徴を理解するということ。

まずは、指揮者となる以前に、楽器の特性を見抜き、その楽器に併せて、その楽器の良さを引き出すような 「良き奏者」 である必要があります。

マウスピースあるいはリードで音が出せるようになったからと言って、それで 「全ては同じだ!」 ではまだまだ奏者としても初心者です。

 

女性は本来、臆病なので、なかなか集中できない動物なのです。

 

しかし、その理由は、太古の昔の、人の交尾の状況を鑑(かんが)みれば一目瞭然。

交尾の最中は、人に限りませんが、捕食する側から見れば、一番隙だらけな瞬間です。

身を守るのに十分な術(すべ)がない時代、人が種を保存するためには、男性は天敵と戦い、あるいは、自らが捕食されつつも、その合間に女性を逃す以外にはなかった筈です。

当然、女性からしてみれば、男性は優れた種でなければなりませんが、どんなに能力的には優れていたとしても、女性を放って置いて、女性を捕食させ、自分だけが逃げてしまうような男性では意味がありません。

かと言って、天敵に襲われた際に、男性が逃げる時間を作ってくれたからといって、もたついていたら、女性も天敵の餌食になってしまいます。

このような過酷(かこく)な状況下で、女性が生き延(の)び、そして、種を保存するために、最低限必要だったこと。それは、女性を見捨てて逃げない男性を見つけることと、あとは、危険な状況に陥った際に、女性が優先的に生き延びることだった筈です。

 

女性の心の底には、そのような太古の記憶が眠っているからなのか、女性は、自分なりに好意をよせることが出来て、安心できる男性に、自分の身を委ねていたとしても、それでも、常にいろいろな不安が頭の中を支配して、デートであれセックスであれ、なかなか集中することができない生き物なのです。

 

太古の昔であれば、不安の代表格と言えば、人を捕食する天敵に襲われることだったかも知れませんが、現在の不安は、① 妊娠や病気に対する不安であったり、② 自分の心を傷付けられる不安、あるいは、③ 相手に対する不満であったりします。

ですので、人によって、これらの不安や不満の内容は異なりますが、このようなマイナス要因を一通り解消してあげること。女性に対して、安心感を与えてあげることが、女性を気持ち良くさせる上で、とても重要になるのです。

 

女性の性の本質は、自分が愛し信頼を寄せる相手に、自分の身も心も委ね、そして、身も心も、とろけて、我を忘れて、愛する男性と一体になること。

自分のエゴやプライドといった鎧(よろい)は全て脱ぎ去って、頭の思考を全て停止させ、頭の中を真っ白にして、ただただ一心に、心と身体で感じ、交わること。

旧約聖書では、イブ(エバ)は、アダムの肋骨(ろっこつ)から作られたとありますが、男女の和合は、一瞬ではあれ、イブがアダムの肋骨に戻れた瞬間こそが、そこで得られる一体感こそが一番の至福(しふく)なのです。

 

では、そのために、男性に何が求められるか。

 

それは、クールに女性の分まで頭を働かせ、女性を守るべく周囲に気を配り、危機に備えること。 男性は女性とは逆に、自らの逸(はや)る性欲を抑(おさ)えるために冷静になり、女性のことに気を配って、思いやってあげることです。

女性が不安にならないように、雰囲気を盛り上げ、女性の不安要因を全て排除する。

そのためには、相手の女性をしっかりと見つめ、相手の全てを正面から受け止め、自分のことは後回しにするぐらいの度量を見せること。

ここで大事なことは、「自分よりも、相手の女性を優先する」 ということです。

あとは、ただただ女性の脳裏から湧(わ)き出る不安を払拭(ふっしょく)させるために、女性が頭で思考するのを止めさせ、「気持ち良くなること」 に集中させるだけです。

 

***

 

SM をやってて感じること。

 

それは、SM には、心理学的な要素もあれば、暗示的な要素も複雑に絡んでいます。しかし、理屈ではなく、人の感性から生まれたものであるからでしょうか?

「女性のオーガズム」 という観点から見ても、実に理に適っているのです。

 

「女性のオーガズム」 の観点から、SM を紐解(ひもと)くと、S とは、「指揮者」 に例えることができます。

緊縛や拘束具は、漠然とした不安から逃げようとする女性に対して、逃げることを諦(あきら)めさせるための 「おまじない」 のようなもの。

「捕(とら)えられている・・・」 という暗示によって、女性のエゴやプライドといった心の鎧(よろい)も、脱ぎ捨てさせやすくしているわけです。

目隠しによって、女性の視界を遮(さえぎ)ることで、聴覚や身体の触覚は鋭敏にさせ、それ以外の不必要な情報から遮断します。

研ぎ澄まされた耳から入る S の呼吸や命令は、言葉責めであるのと同時に、プレイを支配する空気を醸成します。

 

S は、SM プレイにおける 「指揮者」 です。

女性から 「自由」 を奪い、「光」 を奪い、「思考」 を奪い、S は M を支配します。

M は自らの思考を停止し、S の命令を愚直に実行することで、S に従属します。

女性の 「オーガズム」 の観点から言えば、この状況は、まさしく、女性がオーガズムを得るのに、とても適した環境と言えます。

女性に対する環境は整っているわけですから、そこから、どれだけ、従属する女性の気持ちを高揚させ、オーガズムに持っていくことが出来るかは、ひとえに、S の 「奏者」 としての能力と、「指揮者」 としての能力に掛かっているわけです。

 

言葉によって服従させ、あるいは、羞恥心を高め、焦(じ)らし、気持ちを高揚させ、命令によって、相手の行為や動きをコントロールする。

SM で使う道具の類(たぐい)は、女性の M 性のスイッチを入れ、気持ちを服従(ふくじゅう)させるための 「小道具」 あるいは 「おまじない」 に過ぎません。

緊縛も、いろいろと縛り方には趣向がありますし、楽しみ方もそれぞれですが、プレイにおいては、女性が纏(まと)うストラップでしか、ありません。

 

S が、言葉と自らの五体と、そして、道具を駆使して求めるもの。

それは、通常の性愛行為では、なかなか到達が困難な境地。指揮者である S と、奏者である M が奏(かな)でる、性愛のハーモニーに他なりません。

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