2ntブログ
2017/09/08

縄酔いと縄イキ(4)

前回の 「縄酔いと縄イキ(3)」 の続き

 

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今回の経験は、ある意味自分にとっても 「想定外」 でした。
今の 「SM調教」 の基本的な流れは、調教に時間は掛かりますが、昔いろいろと先輩方に教わったり、あるいは、言われた流れを、そのまま汲(く)んでいます。

 

当時は自分もまだ若くて、早く一丁前になろうと、反骨精神も旺盛(おうせい)だったせいか、尖(とん)がっていて、

 

「ちょびちゃん、若いね~♪ 分かってないね~♪」

 

などとからかわれても、吊りは自分の方が上手いからと、片意地を張っていましたが、やはり、いろいろな場面に出会うと、

 

「あのとき、○さんが言ってたのは、そういう意味だったのか~」

 

みたいな 「気付き」 にたくさん遭遇します。

時代によって変わるものもたくさんありますが、時代によって変わらないものもいっぱいあります。そして何よりも、そうやっていろいろと先輩に可愛がって貰ったことは、自分の人生の糧(かて)になります。

自分が認めてもらう前に、まず人の話に耳を傾ける大切さ。

そんなこともあってか、今まで、何人の愛奴が脱落しようとも、愚直にそのやり方を続けてきました。

 

***

 

今回の愛奴は、ある意味、すごく優秀でした。

 

ひとつひとつの課題に対して、逃げようとせず、誤魔化さずに付いてきてくれました。

そして多くの愛奴が乗り越えられず、去っていくような 「精神的に難しい課題」 に対しても、弱音はいっぱい吐きましたが、しかし最後まで諦(あき)めず、最終的には達成。

そして、その 「ご褒美」 として 「吊り」 のフェーズに突入し、その愛奴は、その 「吊り」 によって「縄イキ」 してしまい、今までずっと彼女が探し求めていた 「オーガズム」 の実感をゲットするどころか、それこそ全身が 「性感帯」 みたいな身体に変身してしまったのです。

 

「吊り」 は昔、先輩より教わりました。80年代前半くらいだったでしょうか。大学の同期で、当時から、山岳部でもないのに、カラビナをチャラチャラしてるヤツがいて、その伝(つて)で知り合った人達です。

しかし自分は、その道で食っているわけでもなく、今となっては、いたずらに緊縛歴が長いだけ。(苦笑)

純粋に、自分の緊縛の技術と気合いだけで、「受け手」 が 「縄酔い」 や 「縄イキ」 しているとは思っていません。


やはり、そこには 「縛り手」 である自分を 「信用」 し、自分に対する 「信頼」 と 「敬意」 があったから、だから、彼女は自分の力で、「波」 を探し、自分の力で 「苦しさ」 に耐え、そしてそれを乗り越えて、最後に全てを委ねることが出来たんだと思っています。

 

 

 

女性でないのでわかりませんが、最初から、相手に全てを委ねて身を任(まか)せていれば良いわけではありません。それでは、M は M でも、マグロの M です。(苦笑)

「中イキ」 は、「自分はイキたい」 という思いと、意識の集中が求められます。そして 「カメハメ波」 を大きくするところまで、堪(こら)えに堪えられるところまで、とことん対峙するのは自分なのです。


 

「縄イキ」 は 「脳イキ」

 

「縄イキ」 を経験し、その後 「乳首イキ」、「指股イキ」、「口イキ」、「蝋燭(ろうそく)イキ」 を経験した後、愛奴と話していると、彼女はこう言いました。

 

「あのときのことを思い出すだけで、イキそうになる感覚が蘇(よみがえ)ってきて、イキそうになる。でも、自分で自分の指股を弄(いじ)ってみても、同じように気持ち良くはならない。まるで、脳がイッてるみたい。」

 

このとき、はからずも 「目から鱗(うろこ)」 が落ちる思いでした。

 

たしかに巷(ちまた)では、「脳イキ」 なんて言葉がチラホラ使われています。しかし、そもそも 「外イキ」 にしても 「中イキ」 にしても、オーガズムを感じているのは 「脳」 そのものなわけですし、ネットで調べてみても、これといってまともに説明できているものがないので、個人的には、なんてセンスの悪いネーミングなんだ、と思っていました。

しかし、彼女がはからずも言ったように、なんの特定の物理的な刺激もなく、思い出すだけでイッてしまう…という意味なのであれば、言(い)いえて妙(みょう)。確かに、他に表現のしようもありません。

 

「縄イキ」 という現象は、特に珍しいものではありません。昔からありました。吊られる前から受け手がぼんやりとしてしまったり、恍惚な表情をしながら、何かを堪(こら)えていたり、身体を痙攣(けいれん)させたりする光景は、ちょくちょく見かけました。

 

日本では、催眠術まがいのあやしい記事が大半ですが、海外では、瞑想からオーガズムの状態に入る 「非接触オーガズム(Orgasm without touching)」 がいろいろと話題にのぼっています。しかし 「縄イキ」 も含め、これらは単にアプローチの違いに過ぎず、これらはいずれも 「性的トランス状態」 に入っているわけで、

 

① 感度が格段に高まる

② イキだすと、イクまでの時間が短く、頻繁に多段イキを経験する

③ 思い出すだけで、性的あるいは物理的接触を伴わずにイッたり、全身が性感帯になってしまう経験をする

 

というオーガズムの示す特徴は、どれも一致します。

この状態を 「脳イキ」 と捉(とら)えるのであれば、「縄イキ」 も 「脳イキ」 ですし、「中イキ」 の延長で上記の状態に到達すれば、それも 「脳イキ」 と言えます。

 

***

 

日本も、江戸時代あたりから、終戦を迎える昭和初期あたりまでは、地方によっては、盆踊りのあとで、「ざこ寝」 と称して男女が一堂に泊り込み 「乱☆交」 する風習があったとも聞き及びます。

 

 


しかしこれも、もしかしたら、「踊り」 で一種の 「トランス状態」 となり、「乱☆交」 という非日常的な状況下で、女性が 「脳イキ」 を経験する機会となっていたのかも知れません。

 

 

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今回、「縄酔い」 や 「縄イキ」 のことをいろいろ考えてみて、自分としても考え方が整理されたように思います。

 

「”全身性感帯” なんて、あるわけねーだろ!」

 

と感じる読者の方も少なくないかも知れません。自分も、もし彼女がそういう状態に至らなければ、疑って掛かっていたに相違ありませんし、「縄酔い」 や 「縄イキ」 について、ここまで考える機会もなかったと思っています。

 

皆さんの参考になれば、幸いです。

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