オーガズムとは(9)
前回の記事 「オーガズムとは(8)」 の続きです。
今回は、「オーガズム」 と 「エクスタシー」 の違い について。
女性誌などで、たまに 「セ/ックス」 に関する読者アンケートなどによる集計を掲載したりしているのを見掛けます。しかし、こういった記事は、読者を対象にしていることにより、偏(かたよ)りが発生している可能性も高いですし、全体の母数がかなり小さく、統計調査とは言えないものがほとんどです。
このため、相模ゴム工業の 「ニッポンのセ/ックス」 や 「ニッポンのセックス2018年版」、ジェクスの 「ジェクス・ジャパン・セックス・サーベイ」 などの 「大規模調査」 からのデータを引用してきましたが、それはやはり、きちんと 「セ/ックスの実情」 について読者の方に理解して貰いたい、生データであるからです。
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何故なら、メディアに登場する、「性」 のオーソリティ 的な立ち位置にいる人達は、実に多様です。そして、きちんと語り切れている人がいるかというと微妙だからです。
男は、施術側であり、観察側ですが、自分で直接感じ取ることは出来ませんし、女性は感じる側なのですが、全ての要素を直接感じることが出来る人は、ほんの一握りですし、残念なことに、女性は 「オーガズム」 のときのことは、あまりしっかりとは記憶出来ないのです。
自分が書いている 「体験」 としての記事の内容も、これは、愛奴に 「このときは、こうだったよ」 と抜けている情報を提供し、そのときのことを少しずつ思い起こさせて、確認してきた内容の賜物なのです。
少なくとも男性は、第2者の視点から、傍観者の視点で書くことが出来ますが、女性の場合は、特に 「オーガズム」 については、それが困難なのです。
有名な 「性」 のオーソリティと言えば、大阪大学医学部卒の産婦人科医の某女性など女医系の人もいれば、あとは、「スローセックス」 という言葉を広めた経験則系の某男性とか、あとは、AV男優系の人などもおります。
仕事で何人の女性としようが、あくまでも撮影ですので、何人としたから高い経験値が得られるとは思いませんが、しかし、一般の素人よりは能力が高いのもまた事実でしょう。
この中では、やはり 「医者」 という 「権威」 から、多くの人は、これを信じてしまいがちだと思います。しかし、彼女の問答を読む限りにおいては、あくまでも彼女は 「医師」 であり、「医師」 の視点からしか答えていません。
まあ、「医師」 の看板を出しているため、それゆえの限界という見方もありますが、しかし、ところどころ、主観的な内容になると、「それはちょっと解釈が違うんじゃないの?」 と思われることもしばしば。(苦笑)
例えば、「例」 をあげると、
Q 私、5年ほど彼氏いないけど…。「恋やSEXをするときれいになれる」って、本当? ウソ?
という問いに対する解説は、
巷でよく聞く「恋愛やセックスをすると、女性ホルモンが増えてきれいになれる」説。これは、宋先生によると、ガサツな女性たちの行動をヤジるために、メディアが流した“ガセ情報”に過ぎないとのこと。男勝りなタイプでも彼氏がいなくても、“女性として現役”なのだそう!
とありますが、「ガサツな女性」 云々も 「女性として現役かどうか」 も、この質問には直接関係ありません。
彼女は、女性から見た 「女性の美」 と、男性から見た 「女性の美」 の違いを理解していません。
彼氏が出来て 「ウキウキ」 している女性は、表情から喜びが滲(にじ)み出ていて、目も潤っていて目を 「ウルウル」 させていたりして、男には 「美しく」 見えたり、惹かれたりするのです。
それは、恋から生まれる 「オキシトシン」 だったり、「フェニルエチルアミン」 だったり、あるいは、セ/ックスの 「オーガズム」 で得られる 「ドーパミン」 だったりすることは、医学的にも知られています。
男は、その辺には 「敏感」 なのです。(笑)
だから、「ウキウキ」 してる女子に、「エロオヤジ」 が、
「彼氏でも出来たの?でへへへへ~」
とセクハラするわけです。w
これに対して、彼女のコメントは、
「そのようなエビデンス(医学的根拠)はありません。強いて言うのであれば、入眠しやすくなるという点ですね。」
コメント: 産婦人科医 宋美玄先生
「医学的根拠はない」 と言っているだけではありますが、かなり 「否定的」 に感じるコメントです。彼女は何にこだわっているのでしょう?(苦笑)
とは言っても、
Q どうしたらオーガズムに達したとわかるの?
という問いに対する回答は、
「これってオーガズムなんでしょうか?」と聞いてくるひとは、ほぼ間違いなくオーガズムを感じていないと言っていいでしょう。オーガズムは、これまでに経験したことがなくとも、ヘレンケラーが「ウォーター!」と叫んだように「これか!」とわかるものなのです(笑)
コメント: 産婦人科医 宋美玄先生
これは、自分の体験ベースの話なのか、かなり自信を持って答えています。(笑)
ちなみに、以上の出典は、「女医に聞いた、オーガズムに達する術とは。二人の仲がいっそう深まる…夜のお話」 です。
また、以下の例は、女医が逆に AV男優などを口撃している例ですが、これがまた笑えます。(苦笑)
「女医が教える『本当にいいSEX』」 では、小宮山氏という女医が、こんな風に書いています。
女性の中には、「クリトリスではイケるけど、中ではイケない」という人もいます。有名なAV男優の加藤鷹さんの著書には「クリトリスでイクのはエクスタシーでオーガズムではない」と書いてありますが、クリトリスも立派なオーガズムです。あのフロイトも「クリトリスのオーガズムは未熟である。膣のオーガズムは熟している」と書いていますが、これも今では否定されています。
これは、エクスタシーが 「恍惚(こうこつ)」 とした心理状態を表すのに対し、オーガズムとは、痙攣を伴う快感のピークを表していることを知らず、加藤氏が書いてしまっただけのことです。
フロイトの話は、誰がどのように否定したのかは分かりませんが、どちらも、「外イキ(ク/リイキ)」 と 「中イキ」 では、「中イキ」 の方が 「オーガズム」 の波が強いと言っているに過ぎません。
ちなみに、フロイトの原文訳(らしきもの)では、「クリトリスは未熟な、男性的段階に属するものであり、女性として成熟した、真の性的絶頂である膣オーガズムという聖杯、あるいは金の羊毛にたどり着くために捨て去るべきものだという」 とあります。
自分も、セ/ックスで 「オーガズム」 を迎える女性を何人も観察していて、感覚的には、「中イキ」 の方が 「外イキ」 よりも全然大きいと思いますし、「中イキ」 を経験して 「ク/リイキよりも何十倍も凄い!」 と、その実感をしっかりと認識している女性も少なくありません。
イスラム教における女性の割礼では、女性のク/リトリスを切除するそうで、痛そうだし、「何とも野蛮な儀式だな」 と思っていましたが、盆栽の剪定(せんてい)ではありませんが、もし、切除することで、膣部の方の迷走神経が発達するのであれば、あくまでも仮説ではありますが、多くの女性が 「中イキ」 しやすくなるのでは?-などと、考えてしまいます。
現在は、ク/リトリスだけでなく、膣の 「オーガズム」 も、「迷走神経」 を介して脳に伝達されることが医学的にも分かってきていますが、フロイトが、今から100年以上も前に、どのようにして、そのような発想を持ったのかは不明ですが、きっとこの女医も、「中イ/キ」 を経験していないのでしょう。
自分は、その女性が 「ク/リイキ」 で満足しているのであれば、それで良いと思います。
女性は、まず自分のパートナー選びから始めますので、その時点で、「イケるか」、「イケないか」 が、ほぼ確定してしまいます。
この女医は、「ク/リイキ」 を馬鹿にされたと思って、加藤氏やフロイトを dis っているように感じるのですが、自分は、両氏が言いたいこととは、多少ズレているように感じます。
そういえば、別の人も dis られていました。(苦笑)
マニュアル本には「気持ちいいスポット」がいくつも紹介されていますが、多くは意味のない場所です。例えば、アダム徳永さんの言う「AGスポット」は、「恥骨の裏」ということですが、そんな所に神経はありませんから、強くこすりつけられても痛いだけでしょう。しかも「手の角度は何度で何センチ間隔で動かせ」なんて疑問です。性器は人それぞれ違うのですから、みんなが同じように感じるとは思えません。
自分はこの人の本を読んでいないので、何とも言えないのですが、確かにこの女医が言われるように、女性のアソコの中身のアングルは、人によってさまざまです。
「恥骨の裏」 というと、自分は 「Gスポット」 のことを言っているのかな? とも思いますが、確かに手の角度を固定して、全ての女性の気持ちの良いところに確実に届くとは、ちょっと思えません。(笑)
しかし、「そんなところに神経は通っていない!」 と言っていますが、迷走神経は通っているんではないでしょうかね?(^^;
「神経が通っていない」 のに、強くこすられて痛いというのも、何か不思議な論理表現です。(苦笑)
ちなみに、セ/ックスの 「快感」 は 「痛覚」 を通して、感じ取られ、伝達されているそうです。
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まあ、そんな感じの女医さん達ではありますが、「オーガズム」 と 「エクスタシー」 が違うことも正しいですし、”「これって オーガズムなんでしょうか?」 と聞いてくるひとは、ほぼ間違いなく、オーガズムに達していない” というのも、正しいのかも知れません。
そして、これらの記事を読んだときに、ふと思ったのは、相模ゴム工業やジェクスといった大規模調査の回答においても、回答者には勘違いがあるのではないか、ということです。
ちなみに、日本家族計画協会の機関紙(第709号の記事に掲載されている 「ジェクス・ジャパン・セックス・サーベイ2012 調査結果の概要」 には、「嘘イキ」 に関して、次のように解説されています。
(オーガズム「いつも」ではないという女性)
「感じているふりをする」65%
オーガズムが「いつも」ではないという女性に、「オーガズムを感じているふりをしたことがあるか」と尋ねると、65・1%が「ある」(未婚67・1%、既婚64・2%)と回答(図6)
この質問は、「オーガズムがいつもではない」 人を対象にしています。そして、65%の人が、感じているふりをすると答えています。
自分は、「感じているフリをする人」 の中に、本当にイケてた女性をみたことはありません。
「ク/リイキ」 でも、セ/ックスでイクには、女性の集中力も必要ですので、毎回得られるものではないかも知れません。
しかし、もしかしたら、中には、「オーガズム」 と 「エクスタシー」 を混同している人もいるのではないか? - と思ってしまいました。
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話が長くなってしまいましたが、これからが本題です。(苦笑)
加藤鷹氏の記述?は、用語選定のミス、本人の勘違いだと思われますが、女医さんの言われるとおり、「ク/リイキ」 も 「中イキ」 も、どちらも 「オーガズム」 です。
では、「オーガズム」 と 「エクスタシー」 はどのように違うのでしょうか?
「オーガズム」 と 「エクスタシー」 の違いを、自分の言葉で説明すると、次のような感じです。
オーガズム
オーガズムは、男性なら分かるでしょうが、込み上げて来るものがあって、ある域に達すると自分では止めることの出来ない感覚です。
止めようとしても、止められない感覚。汚い表現ではありますが、ゲロを吐くときの感覚にも近いです。
あとは、「わさび」 ではありませんが、あの 「ツーン」 と、込み上げる感覚でしょうか。
ボキャブラリが貧しくて、どうも済みません。 (^^;
女性が、「イク」 のは、「ク/リイキ」 でも 「中イキ」 でも、「脳イキ」 でも、「乳首」 でイっても、全て 「オーガズム」 です。
エクスタシー
これに対して 「エクスタシー」 は、時間が止まる感覚です。そして 「オーガズム」 ではない、実に心地の良い感覚がずっと続くのです。もう、音も何も聞こえない感覚です。
終わりの見えない 「気持ちの良い感覚」 がただ延々と続くのです。
とろけてしまう感覚です。
男は、重症な遅/漏を除けば、最後には射/精して 「オーガズム」 を迎えて終わりますが、この 「エクスタシー」 の状態になると、その 「とろける感覚」 が終わることなく、延々と続くのです。
ですから毎回、必ずこの状況に至れるわけでもありません。
女性の場合は、「エクスタシー」 を感じると、多分 「気持ちいい」 的な言葉を連発していると思います。
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と言うことで、もしかしたら、統計情報にも、誤った情報が紛れ込んでいる可能性もありますが、マスメディアに登場するオーソリティではあっても、あるいは、医者であったとしても、おかしな 「思い込み」 が入り込んでいる可能性はある、と言うことです。
次回は、女医さんが 「体位」 についても dis っていたので、「体位の話」 でも書いてみたいと思います。(笑)
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